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福島原発事故、原子炉に届いた冷却水は「ほぼゼロ」だったと判明 via 現代ビジネス

官邸や東電本店の要請に従わず、海水注水を強行した吉田昌郎福島第一原発所長。日本中が喝采を送った「海水注入騒動」だが、事故から5年半経って原子炉にほとんど水が入っていなかったことが判明した。

福島第一原発 1号機冷却 失敗の本質』は、6年間にわたる1000人以上の関係者取材と約428時間に及ぶ東電テレビ会議のAI解析によって浮かび上がった数々の「1号機冷却失敗」の謎に迫った調査報道の力作だ。本書から一足先に「届かなかった海水注水」をめぐる衝撃の事実を特別公開する。

ほとんど注水はされてなかった

(略)

取材班が注目していたプログラムの一つが、国際廃炉研究開発機構(IRID)による発表だった。テーマは「過酷事故解析コードMAAPによる炉内状況把握に関する研究」。最新の解析コードを用いて、福島第一原発事故がどのように進展し、どこまで悪化していったのかを分析するものだ。

東京電力が初めてメルトダウンを起こしたことを公式に認めたのは、事故から2ヵ月以上経った2011年5月15日。今から見ると解析結果は楽観的といえるものだった。

当時、東京電力は、解析コードMAAPを用いて1号機の炉心状態をシミュレーションし、「解析及びプラントパラメータ(原子炉圧力容器周辺温度)によれば、炉心は大幅に損傷しているが、所定の装荷位置から下に移動・落下し、大部分はその位置付近で安定的に冷却できていると考える」と結論づけた。

かみ砕いていえば「1号機はメルトダウン(炉心溶融)を起こしたものの、圧力容器の底が溶かされて燃料が容器の底を突き抜けるメルトスルーはごく限定的で、核燃料デブリは原子炉内にほとんどとどまっている」とされていたのだ。しかし、いまやそのように考えている専門家はほとんどいない。

いまでは大量のメルトスルーが起きたことは、もはや専門家間で共通の認識であり、関心事は、格納容器に溶け落ちたデブリの広がりが、格納容器そのものを溶かしているかどうか、という点に移っている。

今回の発表の特徴は、これまでの“どれだけ核燃料が溶けたか”に主眼を置いたものではなく、“どれだけ原子炉に水が入っていたか”という点に注目したことだ。その結果は、関係者に衝撃を与えた。

「3月23日まで1号機の原子炉に対して冷却に寄与する注水は、ほぼゼロだった」

事故当時に計測された、1号機の原子炉や格納容器の圧力に関するパラメーターを解析によって再現するためには、原子炉内への注水量を“ほぼゼロ”に設定しないと再現ができないことから、結論づけられたものだ。

東京電力が1号機の注水量が十分でないことに気づき、注水ルートを変更したのが事故発生から12日経った3月23日のことだ。それまでは、1号機の原子炉冷却に寄与する注水はほぼゼロだったというのだ。

(略)

2013年12月になって、東京電力は事故の教訓を広く共有するため、技術的な分析「未解明事項」を発表した。報告によると、1号機には10本、2号機・3号機にはそれぞれ4本の「抜け道」が存在するというのだ。2011年3月23日までほぼゼロだった1号機への注水量。その原因はこの10本の抜け道にあった。

これだけの抜け道が存在する1号機の原子炉にはいったいどれだけの量の水が入っていたのか? その詳細を知るには最新の解析コードによる分析が必要だった。

(略)

017年2月、NHKでは内藤を含めた専門家を交え、1号機への注水など事故の進展に関する分析を行った。内藤は、BSAFの取り組みを通じて各国の研究機関がシミュレーションから導き出した“現時点で最も確からしい”としている最新の注水量を告げた。

「1秒あたり、0・07~0・075リットル。ほとんど炉心に入っていないことと同じです」

国際機関が検証している最新の注水量。多く見積もっても、1分当たり1・5リットルペットボトルの半分程度しかない注水量に専門家たちも衝撃を受けた。

5年以上にわたって事故の検証を続けてきた内藤が提示したのは、この章の冒頭でIRIDが原子力学会で発表した数値より具体性を持った数値だった。

(略)

MCCI(Molten Core Concrete Interaction)は“溶融炉心コンクリート相互作用”と呼ばれ、溶け落ちた核燃料が原子炉の底を突き破り格納容器の床に達した後、崩壊熱による高温状態が維持されることで床のコンクリートを溶かし続ける事態を指す。

SAMPSONによる解析では、MCCIが始まったのは3月12日午前2時。1号機の原子炉の真下の格納容器の床にはサンプピットと呼ばれる深さ1・2メートルのくぼみがあり、そこに溶け落ちた高温の核燃料が流れ込むことで、MCCIが始まった。

それから13時間後。吉田が注水継続を判断した3月12日の午後7時過ぎには、侵食はおよそ2・1メートルまで達していたと推定される。

(略)

この水が、原子炉、あるいは格納容器の床面にある溶け落ちた核燃料に確実に届いていれば、コンクリートの侵食は十分に止まるはずだった。

しかし、消防車から注ぎ込まれた大量の水は、途中で「抜け道」などに流れ込んだことで、原子炉にたどり着いた水は“ほぼゼロ”。コンクリートの侵食は止まることなく、3月23日午前2時半には深さは3・0メートルに達した。

その結果、もともとあった核燃料と原子炉の構造物、コンクリートが混ざり合い、「デブリ」と呼ばれる塊になった。1号機のデブリの量はおよそ279トン。もともとのウランの量69トンに比べ4倍以上の量となった。

日本原子力学会で福島第一原子力発電所廃炉検討委員会の委員長を務める宮野は、大量に発生したデブリが、今後の廃炉作業の大きな障害となると憂慮する。

「279トンってもの凄い量ですよ。しかも核燃料とコンクリートが入り混じって格納容器にこびりついている。取り出すためにはデブリを削る必要がありますが、削り出しをすると、デブリを保管するための貯蔵容器や施設が必要になっていく。

本当に削り出して保管するのがいいのか、それとも、削らずこのまま塊で保管するのがいいのかって、そういう問題になっていく。保管場所や処分の方法も考えなければいけない」

全文は福島原発事故、原子炉に届いた冷却水は「ほぼゼロ」だったと判明

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