Skip to content


シンポジウム2011

ひらがなをつける | ひらがなをはずす


シンポジウム『核の時代:広島から現代まで』は、
2011年5月21日(土)に開催されました。

2012年度のシンポジウムの情報はこちら


ドキュメンタリー映画とディスカッションを通して、核兵器と核エネルギーを考える

当シンポジウムの企画は1年以上前に立ち上がりましたが、その後『核の時代:広島から現代まで』というタイトルを付けた段階においても、「現代」という言葉が実際に起こる大災害を含んでしまうとは全く想定外のことでした。当シンポジウムは『「核の時代」から70年が過ぎた現在、教育の現場や地域において私たちは核兵器と核エネルギーの関係について何を考え、何を行動に移すことが出来るか』という問いを大きなテーマとしています。「核の時代」とは、兵器としての核およびエネルギーとしての核の問題双方を含み、さらに冷戦時代から現在の厳しい状況にまで至る時代を示します。シンポジウム参加者全員にとって、チェルノブイリ事故から25年がたった今年、福島で起きている事態は、まさにその「核の時代」を考える上での新たなる緊急事態として迫っているのです。

当シンポジウムにおける議論の焦点として、アメリカ出身の女性映画監督および日本出身の女性映画監督による2つのドキュメンタリー映画を上映いたします。監督2人に加え、上映後のディスカッションおよびシンポジウムを締めくくる座談会には多様な分野の専門家が参加する予定です。

M.T. シルヴィアによるアトミックマムは、ネバダ原子力実験所で働いていた科学者 (Pauline H. Silvia) を母親に持つ監督自身による、米国における核の実験の影響についてのドキュメンタリー映画です。自身の母の過去を探る中で、シルヴィアは広島に向かいます。そこで彼女は、もう1人の「アトミックマム」、被爆者の岡田恵美子さんに出会います。一見全く異なる2人の女性の物語はいつしか重なり合い、核を用いること、核に関して公にされない物事の存在と、それらによる人々の犠牲の輪郭が明らかになって行きます。(金賞「ベスト・ドキュメンタリー・フィーチャー」を受賞しました。詳しくは ROTWNEWS.com から)

鎌仲ひとみによるミツバチの羽音と地球の回転日本での上映情報)は、山口県上関町で進められている原子力発電所の建設計画と、その建設予定地の真向かいに位置する祝島の人々の数十年に及ぶ反対運動についてのドキュメンタリー映画です。建設計画が進む中、エネルギー政策のオルタナティブを探しに、監督はスウェーデンへと旅立ちます。

私たちが核兵器や核エネルギーとどう向き合うのか——それは、私たちの身体の健康に、民主主義に、ひいては地球そのものにとって、いますぐ問わなければならない問いです。私たちは、本シンポジウムをその問いに関する対話の契機とし、教育の現場や地域において利用可能な資料や情報を提供することを目標とします。

シンポジウムで “Downwinder” シャツを販売します

“Downwinder” シャツを当シンポジウムにて1着10ドル(現金のみ対応)で販売致します。利益は全てシカゴ大学日本人協会の Relief & Rebuild 活動に充てられます。 “Downwinder” とは、直訳すれば「風下の人間」であり、核兵器実験や原子力事故による大気・地表汚染等から放射線を浴びた個人や集団のことを指す言葉です。 “We Are All Downwinders” (わたしたちは皆 downwinder である)というメッセージが背面に書き込んであります。サイズは S、M、L、XL、XXL、XXXLをご用意します(数に限りがありますのでご了承ください)。

プログラム

午前の部

  • 8:30 – 登録および朝食(コンチネンタル)
  • 8:45 – 開会のあいさつ(ノーマ・フィールド)
  • 9:00-10:20 映画『アトミックマム』上映
  • 10:30-11:30 パネルセッション1(登壇者:ケネット・ベネディクト、ジョセフ・マスコー、シドニー・ネーグル、M.T.シルヴィア、司会:宮本ゆき)
    • 以下のトピックを含みます:核兵器・核実験・原子力発電の歴史、原子力科学の発展における科学者の役割および言説の変遷、核実験・原子力発電が行われる場所に関する地理的問題

11:30-12:30 昼食(無料)

午後の部

  • 12:30-2:30 映画『ミツバチの羽音と地球の回転』上映
  • 2:40-3:40 パネルセッション2(登壇者:鎌仲ひとみ、デイヴィッド・クラフト、ロバート・ロズナー、山口智美、司会:ノーマ・フィールド)
    • 以下のトピックを含みます:エネルギー政策、代替エネルギーの実践、地域における対立、イリノイ州での運動
  • 3:50-5:30 座談会(司会:山口智美)
    • 以下のトピックを含みます:原子力災害の影響、原子力発電に代わる代替エネルギー、関連する情報に触れ社会を変えていくこと
  • 6:00- レセプション

当日会場にてアシスタンスを必要とされる方は、事前にシカゴ大学東アジア研究所 (Center for East Asian Studies) までご連絡下さい。電話番号は 773-702-2715 、メールアドレスは japan@uchicago.edu となっております。

*トップの写真は、写真家 Joseph Pobereskin (http://pobereskin.com/) によるものです。

*このウェブサイトは、 Sarah Arehart (シカゴ大学東アジア研究所)がデザインし、 Masaki Matsumoto (シカゴ大学社会科学修士課程大学院生)によって管理されています。

シンポジスト

M.T. Silvia (M.T. シルヴィア) – 映画監督 (Twitter)
フリーの映画監督。最初のドキュメンタリー作品である「ピカデリードライブ」(2002年、ドキュメンタリー、57分)は、KQEDのイメージメーカーシリーズ、フリースピーチTVにて放映され、ホームビデオとして販売されている。映画業界のエンジニアとしてスカイウォーカー・サウンドやピクサー・アニメーション・スタジオなどで 20年以上のキャリアを積み重ねてきた。 商業映画の仕事も多く、『ワイルド・アット・ハート』(1990 劇映画 124分)の録音エンジニア、『It’s Elementary (イッツ・エレメンタリー)』(1996 ドキュメンタリー 80分),『Mary Jane’s Not a Virgin Any More (メアリー・ジェーンはもう処女ではない)』(1997 劇映画 98分)などの音声編集助手をつとめた。
鎌仲ひとみ – 映画監督 (Twitter)
大学卒業と同時にフリーの助監督としてドキュメンタリーの現場へ。文化庁の助成を受けてカナダ国立映画製作所に滞在し、後に米国などで活動。1995年の帰国後はNHKで医療、経済、環境をテーマに番組を多数制作。環境、エネルギーなどマスメディアが扱わないテーマを追求し、ドキュメンタリー映画を市民に自主上映してもらう方法で作品を届けている。2003年にドキュメンタリー映画『ヒバクシャー 世界の終わりに』を、2006年に『六ヶ所村ラプソディー』を発表。全国650ヶ所で上映された。2010年に公開された最新作『ミツバチの羽音と地球の回転』が全国で上映されている。現在は大学等で教えながら、映像作家として活動を続けている。
Kennette Benedict (ケネット・ベネディクト) – The Bulletin of the Atomic Scientists 代表取締役・発行人
The Bulletin of the Atomic Scientists(『ブリティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』米国の原子力科学者団体発行の雑誌)はマンハッタンプロジェクトに関わった科学者たちにより1945年に設立された雑誌で、核兵器やその他の破壊的な脅威の危険に関して、一般市民に情報を流すことを目的とする。1992年から2005年にかけて、ベネディクトはジョン・D&キャサリン・T・マッカーサー財団の国際平和と安全プログラムの代表をつとめた。また、1992年から2002年の間には、旧ソ連におけるマッカーサー財団のイニシアチブを立ち上げ、代表をつとめた。マッカーサー財団での仕事を始めた1987年以前には、ラトガーズ大学(1980−81)、イリノイ大学アーバナ・シャンペン校(1981−1985)において教鞭をとった。オベリン大学で学士号、スタンフォード大学で政治学のPh.D.を取得している。こちらから英語のプロフィール全文にアクセスできます。
David Kraft (デイヴィッド・クラフト) – Nuclear Energy Information Service [NEIS] (核エネルギー情報サービス)
核エネルギー情報サービスの代表。核エネルギー情報サービスは、1981年、クラフトと7人の運動家が共同で設立し、原子力や被爆の被害、および原子力の代替エネルギーについて信頼のおける情報を供給することを目的とした団体である。クラフトはエバンストンのノースウェスタン大学と、シカゴのノースイースタン大学、そして工業地域財団/アリンスキー社会変革研究所(the Industrial Areas Foundation/ Alinsky Institute for Social Change ) で学部時代を過ごした。シカゴ地域で数多くの出版メディアに寄稿しつつ、原子力、核廃棄物、再生可能なエネルギー、事業規制緩和や環境問題などについて、 イリノイ州や全米で、また国際的に活動するジャーナリストたちに情報を提供したりインタビューを受けるなどもしている。またこれらの問題に関する委員会やアドバイザーグループなどに所属し、「劣化ウラン国際会議」(ドイツ・ハンブルグ2003年)、「原子力と子どもの健康」会議(シカゴ2004年)「市民の疾病—次のステップへ」会議(エバンストン2005年)「チェルノブイリから20年:未来のための記憶」会議(ウクライナ・キエフ2006年)など様々な主要国際会議を企画運営してきた。ご連絡はメールにて、neis@neis.orgまで。
Joseph Masco (ジョセフ・マスコー) – シカゴ大学人類学部
シカゴ大学人類学部および学部社会科学プログラム准教授。科学技術、米国の安全保障文化、ポリティカル・エコロジー、マスメディアや批判理論などについて教鞭をとる。最初の著書であるThe Nuclear Borderlands: the Manhattan Project in Post-Cold War New Mexico (『核のボーダーランド:冷戦後のニューメキシコ州におけるマンハッタンプロジェクト』 プリンストン大学出版局 2006) においては、ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所内および近隣の多様なコミュニティにおいて、冷戦の終わりが安全や危険という概念をどのように揺るがしたかを検討することで、核の時代について理論化した。現在は、米国における国家安全保障のあり方の構築の変遷について、国内における公共空間内での感情、技術や脅威の理解の相互作用に特に焦点を当てつつ分析する研究をすすめている。
Sidney Nagel (シドニー・ネーグル) – シカゴ大学物理学部
シドニー・ネーグルの研究は、これまで物理学の範疇ではないと科学者によって思われて来たような液滴・粒状物質・ジャミング転移の科学的現象を取りあげて来た。更に、造不規則系の物理的性質にも注目している。元素や化合物の完全結晶は規則正しく並んだ原子によって出来上がっているが、それは不規則なシステムの内部での出来事だ。原子がそのような不規則状態にある1つの例は、ガラスである。不規則系は例えば砂場にある砂粒などの、より規模の大きいところにも存在する。ネーグルはこれまで、米国科学アカデミーへの選抜(2003)及びアメリカ物理学会のオリバー・バックリー賞(1999)を受けている。
Robert Rosner (ロバート・ロズナー) – シカゴ大学天文学・天体物理学部、物理学部
ロバート・ロズナーはアルゴンヌ国立研究所の自然科学・生物科学・コンピューターサイエンス部門の副所長兼主任研究員を2002まで務め、その後2005年に研究所長に就任した。米国芸術科学アカデミー会員でもある。科学者としての専門は、天体プラズマ物理学−すなわち太陽や天体についての物理学である。ロズナーのリーダーシップのもとに、アルゴンヌ国立研究所とシカゴ大学の科学者が協力し、Center for Astrophysical Thermonuclear Flashes(天体物理・熱核融合発光センター)を1997年に設立し、2002年まで所長をつとめた。センターは他分野で応用が可能な、コンピューターのコードを使った天体爆発のシミュレーションを開発している。
Norma Field (ノーマ・フィールド) – シカゴ大学東アジア言語文明学部
シカゴ大学の東アジア言語・文明学部で教鞭をとる。著書のうち『天皇の逝く国で』(1989)においては、昭和天皇が重体に陥り死に至る間、敗戦のトラウマや戦後の「平和と繁栄」という枠組みにとらわれて置き去りになっていた「戦争責任」の課題にむきあう市民が浮き彫りとなる。『小林多喜二:21世紀にどう読むか』(2009)においては、1920年代、30年代の世界的な革命闘争の中における、代表的な日本のプロレタリア文学者である多喜二の政治的および文学的闘争を描いた。フィールドは、多くの現象において、階級性の役割に注目している。『広島・長崎を超えて』というシカゴ大学の学部生向けの授業は、日本のみならず、米国において、広島・長崎の原爆投下と核兵器生産、原子力発電や劣化ウラン使用の遺産について考察するものである。
宮本ゆき – ドゥ・ポール大学宗教学部
シカゴ大学宗教学部宗教倫理学でPh.D.取得後、DePaul大学に助教として就任。原爆論説を主な研究分野とし、2011年にフォーダム大学出版社より『きのこ雲を超えて:ヒロシマ後の追悼、宗教、責任』を出版予定。この分野におけるその他の出版物は、仏教とカトリックとの原爆理解を比較した「浄土への輪廻か神の犠牲の羊か:広島、長崎の原爆における宗教的解釈」がある。倫理学と差別意識の問題を念頭に、『見えないもの』―それが被爆者であれ戦死者であれ―に意識を向ける重要性を模索した論文に「戦火と女性:狐の幻想と倫理的責任」がある。(『Imagination Without Borders: Feminist Artists and Social Responsibility』に収録。)この他、広島と長崎を訪れる研修旅行を現在までに三度引率し、2010年に長崎平和特使に任命。
山口智美 – モンタナ州立大学社会学&人類学部 (Twitter: 日本語 / 英語)
シカゴ大学東アジア研究所で3年間、ポストドクトラル研究員をつとめた後、2007年にモンタナ州立大学の助教に就任。文化人類学や日本研究の授業の中で核兵器や原子力に関する問題を扱うかたわら、地元のモンタナ州ボーズマン市において、2008年秋に開催された全米原爆展の企画者となった。原爆写真展、映画シリーズや被爆者によるトークセッションなどを行ったが、 熱心に支援してくれた市民が多くいた傍らで、かなりの反発も受けることとなった。現在は日本の保守市民運動について調査研究をすすめており、核兵器や原子力の問題に関しても保守系の運動家にインタビュー調査をすすめている。その中には、今回上映される鎌仲ひとみ監督の映画のテーマでもある、上関原子力発電所の建設計画を推進する側にたつ人々も含まれている。