デブリに挑む 撮影成功も「取り出し」難題 「冠水なしで大丈夫か」の声も via 産経ニュース

 デブリは見えたが、取り出せるのか-。東京電力福島第1原発3号機で、溶け落ちた核燃料(デブリ)とみられる物体が初めて撮影されたのは7月下旬。原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、デブリの取り出しについて原子炉格納容器を水で満たさない「気中工法」で行うことを提案、政府と東電は9月中に方針を決定する。しかし、前例のない作業に加えてデブリの情報は依然少なく、先は見通せないままだ。(社会部編集委員 鵜野光博)

「3号機の映像にショック」

「構造物が落ちているとはこういうことなのかと、実際に映像を見てショックを受けた」[…]

「冠水」は難度高く

東電は1、2号機でもロボット調査を行ったが、デブリの一部を映像で確認できたのは3号機だけ。宇宙線「ミュオン」を使った測定などで各号機のデブリの位置を推測している。[…]

支援機構は取り出し方針案として、格納容器を水で満たして放射線の影響を減らし、上からデブリを取り出す「冠水-上アクセス工法」▽水で満たさず上から取り出す「気中-上アクセス工法」▽水で満たさず横から取り出す「気中-横アクセス工法」-の3つを検討してきた。

7月下旬には、最後の気中-横アクセス工法で格納容器底部のデブリを優先して取り出すべきだと提案。格納容器を水で満たすには貫通部や損傷部を補修する必要があるが、遠隔補修は技術的に難しく、作業員の被曝(ひばく)量も多くなると判断した。ただし、「将来、冠水工法の実現性を改めて議論することも視野に入れる」としている。[…]

「国際的にも経験がない」

デブリ取り出し方針をめぐる動きに関し、廃炉工程の安全性などを監視する原子力規制委員会の田中俊一委員長は8月2日の会見で「私が知る限りにおいて、そう生産性のある方法が提案されたとは理解していない」とコメントし、もっと具体的な手順などが示された後で規制委として関わる考えを示した。

また、「個人的に申し上げると」と前置きした上で、「膨大な放射能を内蔵した使用済み燃料だから、対策は非常に大変なことになる。何か掻き出して済むというものではない」「それ(冠水)なしにやるのは国際的に見ても今まで経験がない。できるかどうか、私には分からない」と懸念の言葉を重ねた。[…]

デブリ取り出し 1979年の米スリーマイルアイランド原発2号機での事故では、デブリが圧力容器の中にとどまっていたため、冠水工法で85年から取り出しを開始。89年にほぼ終えた。86年の旧ソ連チェルノブイリ原発4号炉の事故では、デブリ取り出しは行わず、4号炉をコンクリートで覆う「石棺」と呼ばれる手法が取られた。福島第1原発では平成29年9月に取り出し方針を決定し、33年度に1~3号機のいずれかで取り出しに着手する計画。

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