原子力規制庁は原子力発電所の運転を監視する検査官の育成強化に乗り出す。電力会社への事前通告なしに原発の保安作業を抜き打ちで検査する制度が2020年度から始まる。100人程度の検査官を含む庁内職員に10月から約2年間の研修や試験などを課し、一定水準の能力に達すれば新たな検査官として資格認定する。新制度の実効性を高める狙いだ。
抜き打ち検査は4月に成立した改正原子炉等規制法に盛り込まれ、20年度の施行を目指している。
検査官は、原発の施設が安全かどうかを点検する電力会社の取り組みについて、規定違反がないかを現地調査で確かめる。検査で不適切となれば、原発の運転が認められない場合もある。
これまでは、あらかじめ決められた期間に所定の項目を検査していた。国際原子力機関(IAEA)から実効性を疑問視する指摘などが出て、法改正につながった。
新制度では検査官の判断でいつでも現場に赴き、被曝(ひばく)を防ぐ仕組みや作業員の安全意識などに幅広く監視の目を光らせる。検査官は現場で問題を見抜く力や判断力が試される。作業員への聞き取り調査などでリスクを洗い出すには特に能力が問われる。
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