三月に九回にわたり連載した「原発からの請求書」では、東京電力福島第一原発の処理費や、核燃料サイクルなど原発の後始末代が四十兆円にも膨らんでいることなどを明らかにしました。読者の方からもメールやツイッターで意見を募集したところ約百件の疑問の声や意見が寄せられました。読者の疑問などをもとに追加調査した「読者発編」をお送りします。 (吉田通夫、池尾伸一)
「結局わが家は毎月いくら負担しているのか」-。初回はこんな疑問にお答えするため、電気使用量別の負担額を試算し、簡易計算式も独自にお示しします。
まず、福島事故被災者への賠償費七・九兆円。大手電力が共同で支払う費用が消費者に転嫁されており、東電利用者は一キロワット時当たり〇・二五円。費用膨張に伴い二〇二〇年度から新電力の契約者も含め〇・〇七円が加わります。
汚染土壌を保管する中間貯蔵施設の建設費や原発のある自治体への補助金は、一キロワット時あたり〇・三七五円の「電源開発促進税」から支出されます。15%が中間貯蔵施設に、80%が自治体向けの計算です。
将来の原発廃炉のための積立金は、東電では柏崎刈羽原発のため一キロワット時当たり〇・〇一八円が上乗せされています。使用済み核燃料のリサイクル、最終処分場建設も消費者負担です。
結局、これらを合わすと、原発の建設費、維持費以外にも各家庭は一キロワット時当たり〇・九三〇七円を負担している計算です。図の簡易計算式のように、家庭の平均使用量にこの数字をかけると負担額が算出されます。過去一年の使用量は東電の場合はカスタマーセンターに電話すれば分かる仕組みですが、待たされることもあるようです。
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