福島の小児甲状腺がんに無関心な元官僚トップの中川環境大臣 via Yahoo! News

(抜粋)

がん件数の過小評価「報告を受けた」だけ

 子どもの甲状腺がんは100万人に1~3人とも言われきた。

 しかし、東京電力福島第一原発事故後、福島県立医科大を中心に行われてきた1巡目の検査では約30万人の受診者のうち116人、2巡目では約27万人中71人、現在進行中の3巡目では約12万人中4人、計191人が甲状腺がんまたはその疑いがあると報告されてきた。

 この多発については、現在に至るまで、県も国も事故との因果関係を認めていない。

しかし、この191人でさえ過小評価であることが、2017年6月5日(第27回)に行われた福島県の県民健康調査検討委員会で判明した。福島県立医科大は、2次検査で「経過観察」とした患者を「通常診療」に切り替えてしまい、たとえ、がんの摘出手術を行ったとしても、その手術数は委員会に報告してこなかった(★)。

就任から1カ月が経過したが、中川大臣はこの問題をどうとらえているのか。また、長期的な健康管理の必要性が認識されながらも、受診者が減り続けており、健康管理手帳の発行などの解決策が課題視されて久しいが、それについては対策を考えているのか。

8月29日の大臣会見でこれらの問題を尋ねた。

(略)

がん件数は、東電の加害責任(因果関係)の証明にもかかわる重大な問題であるにもかかわらず、中川大臣は「各部局から就任後順次、所管事項の説明を受けました。その中で報告を受け」ただけで、自ら発する言葉を一切持っていないことが分かった。

 また福島第一原発による放射能汚染は、福島県内にはとどまっていないため、除染を行った県内外の地域で健康管理を行う必要性が指摘されていることを「健康管理手帳」の必要性という聞き方で尋ねたが、同様だった。

中川大臣は寺原補佐に答えさせた上で、「甲状腺がんの問題につきましては今事務方が申し上げましたが、専門家の意見を聞くということが大事」と回答するに留まった。以下、その模様を抜粋する。

中川大臣記者会見録(平成29年8月29日(火)於:環境省第1会議室)より関係部分抜粋。

(問)福島第一原発の事故後に191名の甲状腺がん、また疑いが明らかになっているそのほかに、2次検査で経過観察となったものについては約2,000人の子どもたちが摘出手術をしたとしても、把握されない、公表されないということが明らかになりました。これについては福島県立医大は把握されているのですが、国はどのように把握されていかれますでしょうか。

寺原参事官補佐:甲状腺検査につきましては福島県の県民健康調査検討委員会で議論されているものと承知しております。6月5日に開催されました第27回の県民健康調査検討委員会におきましては、経過観察後の手術症例への把握の必要性について指摘する意見が出る等、手術症例に係る具体的な検討が進められているところでございます。福島県民の健康を見守るためにも、より正確な情報を把握することが重要と考えております。環境省としましても引き続き福島県に対して必要な支援を行うとともに、福島県の県民健康調査検討委員会での議論を関心を持って注視してまいりたいと思っております。

(略)

寺原補佐が回答した専門家会議が2014年12月に「中間取りまとめ」を出してからすでに約3年が経過した。会見後、寺原補佐に、この専門家会議を再開する予定を尋ねたところ「ない」という。

その後、OurPlanet-TVが、福島県立医科大学の甲状腺・内分泌学講座の鈴木眞一教授ら研究グループが実施した小児甲状腺がんの手術症例を登録し、データベースを構築し、その中には「福島県民健康調査の検討委員会に報告されていない3例」も含まれていると報道した(「存在していた!福島医科大「甲状腺がんデータベース」)。

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