【ワシントン清水憲司】米スキャナ電力は31日、経営破綻した東芝傘下の米原子炉メーカー、ウェスチングハウス(WH)に発注した原発2基の建設を断念すると発表した。建設費の増大で採算が合わないと判断した。建設費は既に地域の電気料金に上乗せされており、地元住民や州政府が東芝などに損害賠償を求める可能性もある。
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2号機は2019年8月、3号機は20年8月の完成を予定し、建設費は139億ドル(約1.5兆円)を見込んでいたが、工事の遅れで両基の完成は24年ごろ、建設費も250億ドル規模に膨らむ見通しになった。スキャナのケビン・マーシュ最高経営責任者(CEO)は声明で「計画開始以来、我々では制御できない多くの要素が加わった。なかでもWHの破綻が最も大きかった」と語り、WHが追加コストの負担を約束していた固定価格契約が、WH破綻で実施できなくなったことが、断念の引き金との考えを示した。
同州法では、原発が完成してもしなくても、建設費を電気料金に転嫁でき、既に計18%の値上げが行われている。東芝が28日、スキャナなどにWHの親会社として支払いを約束した債務保証21億6800万ドル(2432億円)は料金の抑制に使われる。
同じくWHにボーグル原発3、4号機を発注していたサザン電力も8月中に建設を続けるかどうか検討を終える方針だ。
VCサマー原発の建設断念に伴い作業員など約5000人の雇用が失われる見通し。米政府は雇用重視などの観点からWH再建の動向を注視しており、トランプ政権が日本政府などに何らかの注文をつけてくる可能性もある。
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