◇オバマ氏訪問の広島で思い
オバマ米大統領が初めて広島を訪れた二十七日、米国が六十二年前に太平洋で行った核実験で被ばくしたとみられる漁師の遺族、川口美砂さん(60)=東京都新宿区=も広島市にいた。「ヒロシマ」が世界に知られる一方、世界中での核実験による被ばくがどれだけあったのかは明らかでない。「戦後の核実験を現役の大統領がどう認識しているのか知りたかった」。川口さんは警備の規制線の外から、大統領がいる平和記念公園を静かに見つめた。 (神谷円香)
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一明さんは六八年、川口さんが小学六年生の時に、心不全のため三十六歳で亡くなった。第五福竜丸事件が日米間で政治決着したため、他にも数多くあったはずの被ばく船の調査はされずに終わった。父の死は周囲に「酒の飲み過ぎ」と勝手に決めつけられた。
父も核兵器の犠牲者のはず-。川口さんは昨年から、故郷の室戸市に毎月帰り、父と同年代の元漁師たちに話を聞いている。「核実験の光を見た」「仲間が若くして死んでいった」という証言が次々に出てきた。
「力の見せつけ合いの核実験に一般の人が巻き込まれた。戦争じゃないのに、平和が戻った後なのに、なぜ」との思いが込み上げる。
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