事故前の昨年、文科省と経済産業省が発行した「わくわく原子力ランド」などと名付けられた小中向け副読本は、大地震や津波に対する原発の安全性を強調、「安全神話」を振りまく内容だった。
このため高木義明前文科相が見直しを表明、新版作成を余儀なくされたのだ。当然といえよう。
しかし、新版副読本にも問題は多い。その第1が、原発事故に正面から向き合っていないことである。事故に関しては前書きに数行書かれているだけで触れられていないのだ。
事故による避難で転校を強いられたり、プールやグラウンド、通学路を汚されたりした子供たちに、まずは事故がなぜ起き、どのように汚染が広がっていったかを教えるべきだ。
それが「放射線を考える」出発点でなければならない。
一番知りたい健康リスクについて、約20ページ中で1~2ページの記述にとどまっているのも首をかしげざるを得ない。