ユニクロ×原発 潜入ジャーナリスト対談#1「クビになるのも面白い」 – 「文春オンライン」編集部 via 文春オンライン

ユニクロの店舗で1年以上も働き、ルポを『週刊文春』に連載した横田増生氏(52)。ジャーナリストとして初めて福島第一原発の作業員となり、『ヤクザと原発』(文春文庫)を上梓した鈴木智彦氏(51)。初対面対談の第1回は、「我々はなぜ、潜入取材に挑むのか」。その意義と醍醐味を語る。

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横田 ありがとうございます。1年2カ月は長かったけど、『週刊文春』が10週も連載させてくれたのと、電通の過労死や働き方改革が問題になったタイミングもよかったです。鈴木さんが福島第一原発で働いたのは、事故の直後でしたね。

原発はとにかくでかかった

鈴木 2011年の7月からひと月ちょっとでした。俺はもともと、暴力団ばかり書いているライターなんです。原発の潜入取材は、作業員の手配が暴力団の大きなシノギになっていると聞いたのと、暴力団と原発には誰もが嫌がる危険な取材先という共通点があるから。いろいろ伝手を頼って、取材を前提に5次請け業者に雇ってもらいました。仕事は主に、汚染水処理タンクの設置作業や掃除でした。

横田 実際に働いてみて、一番わかったことは何ですか?

鈴木 原発がでかいことです。建屋の下へ行って見上げてみないと、あのでかさはわからない。もう科学的な根拠なしに、「これが壊れたら、ちょっと無理だよな」って本能的に感じさせるでかさです。

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放射線よりパワハラが怖かった

横田 『ヤクザと原発』を読ませてもらって、偉そうなことを言っている政治家や研究者は絶対20キロ圏内に入ってこないとか、放射線を浴びるより熱中症で倒れたり交通事故のほうが作業員にとって危険だとか、確かに外から取材しているだけではわからない。見た人間にしか書けない面白さがあります。放射線の話も数字を言われたってよくわからないけど、被ばくした場合に備えて造血幹細胞を事前に採取しておくといった話になると、怖さが伝わりますよね。一番ヤバいと思ったのは、やっぱり放射線ですか?

鈴木 あの当時は自分だけでなく、社会全体のテンションがおかしかったじゃないですか。だからもう、恐怖はなかったんです。造血幹細胞を取るのも、正直に言うとネタだと思ってるんですよ。おっかなくて取りに行ったんじゃないけど、そう言うと不謹慎だから。

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原発の最前線にいた強み

横田 潜入ルポは結局、自分の体験だから強いですよね。原発内の作業が終わるまでトイレに行けない決まりだから、鈴木さんが初仕事の日に失禁してしまう話とか(笑)。

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