東京電力福島第1原発の廃炉について学ぶ「第3回福島第1廃炉国際フォーラム」が5日、楢葉町で2日間の日程で開幕し、初日は廃炉の疑問に専門家が答える意見交換を行った。地元の団体の代表や高校生らが登壇し、第1原発の地上タンクで保管が続く放射性トリチウムを含む処理水の処分方法を巡り、合意形成の在り方を問う声があった。
意見交換で遠藤瞭さん(ふたば未来学園高3年)は処理水の処分について「科学的知見だけでは(処分後の)社会への影響は分からない」と指摘。経済産業省が30日に富岡町、31日に郡山市と東京都で開く公聴会については「話し合ったとしても絶対安全というわけではなく、何かしらの問題は出てくると思う」と専門家に意見を求めた。
同省の松永明廃炉・汚染水特別対策監は「科学的知見だけではなく、風評被害なども含めて国の小委員会で検討中」とし、公聴会や関係者との議論を踏まえて検討する考えを示した。ただ遠藤さんが「公聴会は限られた場所や時間、人数になる。十分なのかなと思う」と問うと、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の山名元(はじむ)理事長は「明確な答えは出せないが、リスクやメリット、デメリットなどを住民が共有し、判断するやり方が一番の理想」とし、科学的な情報を共有することも重要とした。
意見交換は立命館大の開沼博准教授が進行役を務めた。廃炉への関心を高める情報発信や廃炉後の作業員の雇用、廃炉教育の在り方などについても議論した。
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