民進党の菅直人最高顧問は、原発問題はエネルギー問題であるとともに最大の危機管理上の問題だ、と29日発信した。「北朝鮮の軍事的行動に警戒する」とするなら「日本国内の稼働中の原発全てをまず停止させることだ」と放射能被害の安全保障対策上からも原発停止が重要と提起した。
菅元総理は「東電福島第一原発事故の後、東海地震の震源に近いと想定されている『浜岡原発』を止めた」。総理としての判断で、想定外の事故時のリスクを考え、安全策を優先させたものだ。
菅元総理は「北朝鮮のミサイルを警戒し、政府は警戒態勢を発令し、緊急時に地下鉄などを停止することを準備している。しかし、それ以上に万一原発が攻撃され破壊されても放射能被害を招かないよう、原発の稼働を停止させておくことがもっと重要である」と求めている。
原発については、事故を懸念する福島県の住民らが、1975年に福島第2原発1号機の国の設置許可に対し、取り消しを求め提訴したが、1992年に最高裁は「原子炉設置について、安全性が確保されることから、原子炉等規制法24条1項4号の許可基準に適合しているとした被告(国)の判断には合理的根拠がある」とし、訴えを却下した。この時の最高裁判事だったメンバーの一人は退官後、当時、原発メーカーだった東芝の社外監査役に就任した。
原発の安全基準が安全を完全に担保、保証するものでないことは東日本大震災での福島第1原発事故で皮肉にも立証された。原子力規制委員会の田中俊一委員長も「規制委員会は安全基準に適合しているかどうかを審査しているのであって、安全を保証するものではない」と当初から話している。(編集担当:森高龍二)