被爆2世、消えぬ不安=遺伝恐れ、差別も体験-原爆忌 via 時事通信

広島の被爆者を父母に持つ「被爆2世」の不安は、原爆投下から72年がたつ今も消えない。今年になって26人の2世が、国に慰謝料を求める訴訟を広島地裁に起こした。原告の1人、広島県福山市の中学校教員占部正弘さん(59)は、10年前から喉の痛みを感じている。被爆し、肝臓がんで亡くなった父を思い、放射能の影響に恐れを抱き続ける。
全国被爆2世団体連絡協議会によると、被爆2世は全国に少なくとも30万~50万人いるとされる。訴訟で被爆2世らは、放射線の影響は遺伝している可能性があり、健康不安を抱えているのに十分な支援を受けていないと主張。国側は「遺伝は科学的に立証されていない」と反論している。
占部さんの両腕には子どもの頃に突然、白斑ができた。被爆直後、父親の背中にできたものと似ている。「体の表面に遺伝があるのなら、内部にもあるかもしれない」という思いが消えない。
約20年前、被爆2世の知人女性が乳がんのため40代で亡くなった。女性からは、「2世はがんになりやすいから」と注意を促されていた。「もし彼女が被爆者として認められていれば、健康手帳を交付されていれば、生きていたかもしれない」。そう考え、訴訟への参加を決めた。
訴訟で被爆2世は、差別の存在も訴える。占部さん自身もかつて縁談が持ち上がった際、仲人から「(2世であることは)相手方に言わん方がいい」と勧められた経験がある。結婚後、被爆2世であることを隠したままの人は少なくないという。
仮に勝訴しても、「2世は原爆の遺伝を受けた障害者だ」と、さらに差別を助長してしまうのではとのジレンマも感じる。それでも、「自分たちだけでなく、子や孫まで将来、がんになるかもしれない。その時に何の手だてもない方が問題だ」と、訴訟の意義を訴える。
2019年には教員を定年退職する。教え子の被爆3世にも健康不安が残ることを憂慮し、「裁判で勝てば、彼らも国の支援を受けられるようになる」と話す。教え子らには、「核のない平和な世の中のために、声を上げられる人間になってほしい」と願っている。(2017/08/06-19:25)

 

 

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