福井県内3基の原発の廃炉計画が認可され、今後は工事の受注を目指す企業の動きが本格化する。新たなビジネス機会をつかもうと説明会は盛況だが、地元からは参入の壁が高いとの声も聞かれる。「廃炉ビジネス」を成り立たせるには、乗り越えるべき課題は多い。
■機会は充実
廃炉計画が認可された3基のうち関西電力美浜原発1、2号機(福井県美浜町)は加圧水型軽水炉、日本原電敦賀1号機(敦賀市)は沸騰水型軽水炉とタイプが違う。日本原子力研究開発機構の新型転換炉ふげん(同)、高速増殖原型炉もんじゅ(同)を含めると、廃炉ビジネス参入の機会は多い。
「どれか一つにでも先んじて関わることができれば、全国の廃炉に今後対応できる」というのが、企業側の魅力の一つだ。2016年7月、若狭湾エネルギー研究センターが開いた県内企業向け説明会は、嶺南を中心に227社が参加。会場が満杯となり別室を設けるほどの盛況だった。
関電や日本原電は県内企業との共同研究を実施。原子力機構も、敦賀市での廃炉企業群の育成に本腰を入れている。電力事業者側も着々とビジネス環境を整えている。
■割り込み期待薄
廃炉参入を目指す活発な動きがある一方で、課題を指摘する声も増えている。
3月に敦賀市内で開かれた美浜1、2号機の廃炉工事に関する元請け会社との情報交換会には県内54社が参加し、7月にも始まる系統除染工事への参画機会を探った。美浜町で原発の仕事に長年従事する国川清・わかさ東商工会副会長(67)はこの会合で「元請け、下請けなどのタテのラインが既にあり、割って入って仕事を取るのは難しい」と感じた。地元企業の廃炉への期待感はあまりないという。
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