「原発広告」の欺瞞を元博報堂の営業マンが激白 via 週刊ダイアモンド

5月14日、政府の原子力規制委員会によって廃炉も含めた運転主体の見直しを勧告されていた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)が、一転して存続される方針になったことが明らかになった。未だ2011年3月11日の東日本大震災に起因する東京電力福島第一原発の事故が収束していない中で、なぜ安倍晋三首相は原発の再稼働を急ぐのか。だが、その前に“ポスト福島原発”の時代を生きる日本人が知っておくべき問題がある。過去約40年間にわたって続けられてきた「原発広告」という産業界でも例を見ない特殊な世界だ。再稼働を見据えて2015年の夏頃から復活した原発広告とは何か。その歴史と構造的な諸問題に詳しい本間龍氏に話を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)
──この4月下旬に出版した『原発プロパガンダ』は、東京や大阪などの大型書店の新書部門ランキングでベスト10に入るなど好調です。近年の出版業界では、「原発関連本は売れない」ということが定説になりつつありますが、今回、あえて新書という形態で出したことに理由はあるのですか。

やはり、手に取りやすい新書という形態で出すことにより、できるだけ多くの人に読んでほしいという思いがありました。2011年3月11日の東日本大震災以降、非常にたくさんの原発関連本が出版されました。ただ、その多くは内容がやや専門的だったり、価格も2000円以上だったりするなど、よほどの関心がなければ、一般の人が「ちょっと勉強してみよう」とはならないと思うのです。

 そこで、2012年に『電通と原発報道』を出版してから書き続けてきたことのエッセンスを抜き出し、全体的に情報をアップデートした上で、価格も800円台と安く、かつ2~3時間で読める凝縮版を出すことにより、もっとすそ野を広げたいと考えました。内容は、過去の『原発広告』や『原発広告と地方紙』とかぶる部分もあります。しかしながら、初めて自らの意思で原発広告の問題に接してみようと思う人にとっては、これ以上はないほどコンパクトにまとまっていると自負しています。図表や経年データにも力を入れました。

 これまで私の本は、大手広告代理店とメディアの関係における諸問題を衝くものが多かったことからか、新聞の日曜版の中面にある書評欄では黙殺されてきました。例えば、『電通と原発報道』などは、実際に読んでくれた人の評価は高く、今でも少しずつ売れ続けていますが、どうやら私の本は新聞社における書評掲載基準に抵触するようでして(苦笑)。それでも、ジャーナリストの鎌田慧さんや、文芸評論家の斎藤美奈子さんが、自分が新聞紙面で持つ書評コラムの中で取り上げてくれました。ありがたいことです。
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