【ウィーン樋口直樹】東京電力福島第1原発事故直後の現場作業員の内部被ばく線量が、実際より約20%過小評価されている可能性が国連科学委員会の 報告書で明らかになった。日本の調査では、半減期が極めて短い放射性物質の影響が考慮されていなかったためという。政府や東電は、健康管理体制の見直しを 迫られる可能性がある。
国連総会に提出された報告書によると、日本における現場作業員の被ばく線量の評価で、半減期が約20時 間のヨウ素133などの影響が考慮されていなかった。また、調査が遅れたため、多くの作業員の甲状腺からは半減期が約8日間のヨウ素131でさえ検出され なかったという。
科学委は日本政府や東電から提供された資料などを基に、原発事故が起きた2011年3月から12年10 月まで現場付近で働いていた作業員約2万5000人の被ばく線量などを調査。平均被ばく線量は12ミリシーベルトだった。このうち約35%が10ミリシー ベルト以上、0.7%が100ミリシーベルト以上被ばくした。
政府と東電は一定量以上の被ばくをした作業員に対し、無料で健康診断を実施。具体的には、全身の被ばく 線量が50ミリシーベルト超で、甲状腺や胃がんなどの検査対象者は約1100人。全身で50ミリシーベルトを超えなくても、甲状腺被ばく線量が100ミリ シーベルト超で、甲状腺がんの検査対象は約2000人。指摘通り、過小評価ならば検査対象者が増える可能性がある。
続きは福島原発事故:作業員の内部被ばく過小評価か…国連委指摘
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