取材ノート11:西日本一の風力発電 事業へ逆風、普及停滞 /鹿児島 via mainichi.jp

(抜粋)

一方、風力を取り巻く環境は厳しさを増す。

「ガイドラインの基準に照らすとだめですね」。南九州市内に風車7基を計画していた関電エネルギー開発(大阪市)の担当者は今春、約1年がかりの審査結果を県から告げられた。

ガイドラインとは、風力発電施設に関する県の景観形成ガイドライン。九州全体の4割の風力が集中し、観光資源でもある自然景観に悪影響が及ぶとし て昨年度から施行された。景観に特化したガイドラインは全国的にも例がない。「山の稜線(りょうせん)を乱さない」よう、周辺施設から見える風車が垂直視 角1度未満であることを原則と定めており、現在主流の高さ100~120メートルの風車に適用すると6~7キロの距離が必要とされる。

九州電力は、ガイドラインへの適合を電力購入契約の条件にしているため、同社の計画は事実上頓挫。5年前から数千万円かけ準備し、市の回答は「問題なし」だっただけに困惑を隠せない。

建設費の3分の1を助成する国の制度が打ち切られ、騒音や鳥類の衝突事故なども課題に挙がる風力発電。県内では「景観」も大きなハードルになる。 事業者側からは「県全域で国立公園並みの規制。かなり厳しい」と嘆き節も聞こえる。県によると、これまで17件が審査され適合したのは6件にとどまってい る。

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