国民はビタ一文払う必要なし
●送電設備で5兆1400億円 関連会社で2兆5000億円
20日、2011年3月期決算の発表を行う東京電力。福島原発の事故処理に伴う費用などで1兆円近くの特別損失を計上し、赤字転落は確実とみられてい る。それでも東電は余裕シャクシャクだ。十数兆円に上る原発賠償は「増税」と「電力値上げ」で国民に押し付ける魂胆だから、平然としている。だが、こんな 愚策は絶対に認めてはダメだ。東電には売却資産がたっぷりとあるのだ。最もカネを捻出できる手段が「送電網」の分離、売却だ。東電の財務諸表(第3四半期)をみると、「送電設備」は約2兆1000億円にもなる。共産党の吉 井英勝衆院議員によれば、他にも「変電設備」(約8400億円)、「配電設備」(約2兆2000億円)などの送電関連資産がある。これらを売却すれば、5 兆1400億円になる。
「資産額は簿価のため、実際に売買する際はもう少し価値が下がるでしょう。しかし、それでも兆単位のカネを捻出できるのは大きい。欧米では複数の発電会社 が送電会社に電気を売るのは当たり前。これによって競争原理が働けば、電気料金も安くなるから国民も万々歳です」(経済ジャーナリスト)
(中略)
「東電の連結子会社は170社近くあります。例えば、『アット東京』(東京)はデータセンター事業、『ユーラスエナジーホールディングス』(東京)は国内 外の風力発電事業の投資を手掛けている。ほかにも、有線テレビの『テプコケーブルテレビ』(埼玉)、宿泊施設の管理を行う『当間高原リゾート』(新潟)、 訪問介護事業の『東電パートナーズ』(東京)など多業種に及びます。海外進出も盛んで、カナダではウランを採掘する会社、オーストラリアではLNGプラン ト事業や、ガス田開発事業を手掛ける会社を持っています」(前出の経済ジャーナリスト)
こうした関連会社の株式などを含む「投資その他資産」は約2兆5000億円。送電事業の売却と合わせれば、ざっと8兆円近くをヒネリ出せる計算だ。そもそも東電の資産は13兆円もあるのだ。