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福島県の住民や県外に避難した人たち、およそ3800人は福島第一原発の事故で生活の基盤が損なわれ、精神的な苦痛を受けたとして、国と東京電力に慰謝料などを求め、福島地方裁判所は今月10日、国と東京電力の責任を認め、東京電力に対して、原告のうち、およそ2900人に総額4億9000万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。また、このうち2億5000万円余りについては、国も連帯して賠償するよう命じました。
原発事故をめぐる全国の集団訴訟で国の責任を認めた判決は2件目となりました。これに対して、国と東京電力は判決に不服があるとして、23日、仙台高等裁判所に控訴しました。
一方、原告側も賠償の額や訴えが認められなかった地域があったことなどを不服として全員が控訴しました。
一連の集団訴訟では、すでに判決が言い渡された2件の裁判でも原告側と被告側が控訴していて、改めて各地の高裁で責任の有無などが争われることになります。
原子力規制庁「関係省庁が調整した結果」
訴したことについて、国側の原子力規制庁は「関係省庁が調整した結果、国として裁判所の判断を受け入れることができないので、本日、法務省が控訴したと承知している」としています。東京電力「総合的に判断」
東京電力は「判決内容を十分に精査した結果、総合的に判断し、控訴することにした。控訴審でも訴えの内容や主張を詳しく聞いていきたい」というコメントを出しました。原告弁護団「被害実態に見合った賠償を」
控訴のあと、福島市で記者会見を開いた原告弁護団の事務局長を務める馬奈木厳太郎弁護士は「2審でも国と東京電力は原発事故の責任について再び争ってくると思うので、しっかり反論し、責任の所在を明らかにするとともに、原告の被害の実態に見合った賠償を求めていきたい」と述べました。