長年の懸案である「トイレなきマンション」解決への一歩となるだろうか。原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場となり得る適地を示す「科学的特性マップ」を経済産業省が公表した。
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放射能レベルの極めて高い核のごみは、使用済み核燃料の再処理により生じる。ガラスを混ぜて固めステンレス製容器に閉じ込めて30〜50年保管する。
国の計画では、最終処分は地下300メートルよりも深い岩盤に埋める「地層処分」をする。放射線が一定レベルに下がるまでの数万〜10万年、人々の生活圏から隔離する。気が遠くなる年月だ。日本列島に人が住み始めたのが4万〜5万年前というからSFの世界だろう。そんな先の人たちに、どうやって危険性などを伝えるかも難問だ。
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候補地選びでは以前、交付金をちらつかせ、手を挙げる自治体を待っていた。しかし首長が前向きでも住民や議会の反対で頓挫した。安全性が保証されない限り当然かもしれない。
しかも整備段階で百年程度の歳月と3兆円の費用がかかる。国が主導しなければ進まないだろうが、積極的に受け入れる自治体がそんなにあるとは思えない。先行きは不透明だ。
だからと言って放っておいてはおけない。核のごみは約2500本ある。海外に再処理を委託し、戻ってくる分などで千本以上増える。どこでどう処分するかは原発への賛否に関わらない問題である。マップ公表を機に、国民的な議論を呼び掛けたい。
原子力政策の将来像をはっきりさせるのが先だろう。福島第1原発事故で、国民の多くは原発や原子力政策に批判的・懐疑的になった。しかし政府は、それを無視して再稼働を急いでいる。これでは最終処分地の必要性に着いて理解は得られまい。
破綻したとも指摘される「核燃料サイクル」をすぐやめて、使用済み核燃料を再処理しなければ、高レベル廃棄物は増えない。総量抑制になるはずだ。
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