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Daily Archives: 2020/01/05
福島県南相馬市:社会的サポートの途絶による野外生活が内部被ばくを引き起こしたvia医療ガバナンス学会メールマガジン
南相馬市立総合病院・地域医療研究センター澤野豊明 2019年12月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp私は外科の診療に従事しながら、福島県浜通り地区で原発事故の健康や社会について研究をしている医師です。先日、2017年8月に経験した症例を英文医学雑誌で発表しました。 それは、原発事故から6年以上経過しているにも関わらず、2013年以来3番目に高い放射能による内部汚染が確認された70代の男性の症例でした。なぜ彼は比較的高度な内部汚染を被ってしまったのか。これを詳しく知ることは、どのような方が内部汚染を被りやすいのかを解明することに役立つかもしれないと考え、論文としてまとめるに至りました。今回は、今までにわかっている内部被ばくのこと、この症例から新たに示唆されたことを解説したいと思います。 2017年8月のある日、「市内の山間部で70代の男性を保護したので診察してほしい」と警察から連絡がありました。搬送されて来た男性は、南相馬市の山間部の帰還困難区域で2か月程度ホームレス生活を送り、衰弱した状態でした。脱水症と栄養失調の診断となり、彼は点滴治療を受けるため入院しました。 彼は元々、東日本大震災の津波で自宅を失うまで、南相馬市の沿岸部に居住していたそうです。震災前から精神疾患を患っていたそうですが、記録はなく詳細は不明でした。福島第一原発事故の後、南相馬市から福島市へ避難し、そこで提供された無料の賃貸住宅に住んでいました。しかし、帰宅困難区域外の住民に対しては2017年7月に無料の住宅支援が終了してしまい、それと同時に住む場所を失ってしまいました。 生活保護などの社会的支援も支援サービス間の連携不足もあり使用できず、新しい家を借りるために十分な資金を準備できず、彼は突然ホームレス生活を強いられることになりました。福島市内の住居から立ち退き、彼は南相馬市の横川ダム近くの山間部の洞窟で生活を始めました。彼の生活していた場所は、帰還困難区域に指定されていた場所でした。食料を買う十分なお金もなく、小川の水を飲み、自生しているキノコ、山菜、川魚などを食べて2ヶ月間生き延びたそうです。 入院時に行われた検査では、脱水症、栄養失調と診断されました。外部被ばく線量は測定されませんでしたが、当然、急性放射線障害の兆候はありませんでした。一方で、ホールボディーカウンター(内部放射線汚染の測定装置)によって計測された放射性セシウム(Cs-134およびCs-137)の内部汚染は、それぞれ538 Bq / bodyと4,993 Bq / bodyでした。それらから計算された内部被ばくによる実効線量は0.20 mSv /年と推定されました。 彼は入院中に生活保護の手続きを行い、身体状態が改善を確認された上、入院9日目に新たに契約した自宅に退院となりました。それ以降は生活保護のサポートに加え、定期的に市の職員が訪問を行なっています。 この報告は2011年の福島第一原発事故後、被災者への無料住宅支援が打ち切られ、社会的支援の連携不足もあり、ホームレス生活に陥った男性が、比較的高度な放射能による内部汚染を被ってしまったことを報告したものです。この事例からは、放射線災害後の内部汚染が、貧しい社会経済的状況の方、つまり健康弱者で起こりやすい可能性があることが浮き彫りになりました。 「弱者」の健康管理を行うことは、公衆衛生上、非常に重要な課題です。なぜなら、家族や居住地などの社会的な要因が健康の良し悪しに影響を与えることが今までの多くの研究からわかっているからです。つまり、それは貧しい人々の健康状態が良くないことを意味します。 そして、災害など予期せぬイベントが起こるとそのような方々がより影響を受けやすい可能性があるとも言われています。貧しい人たちが自分の力で貧しい社会的地位を脱するのは非常に困難を伴うことが知られていることと合わせて考えると、そういった「弱者」へのサポート充実させることは、災害後の重要な健康対策となります。 […] 放射線災害後の健康対策の大前提として、住民の放射線被ばくを最小限に抑えることがあります。幸いにして、福島第一原発事故の放射線被ばくによる健康影響は無視できるほどに小さいと報告されています。しかし、内部被ばくの管理は注意が必要です。なぜなら、空間線量に依存する外部被ばくは空間線量の時間的減衰に伴い、直後の被ばくが問題となる一方で、内部被ばくは外部被ばくと比較し、食品などを通して長期間にわたって影響を及ぼしやすく、加えてその影響は個々のライフスタイルに依存することから、内部被ばくのリスクが高い人々を特定することが容易ではないからです。 福島原発事故後、一部住民で比較的高いレベルの内部汚染が観察されていますが、個人の内部汚染の危険因子に関しては未だに分かっていないことが多くあります。 本症例の放射性セシウムの内部汚染レベルは、2017年に南相馬市立総合病院で内部被ばく検査を受けた対象者中の最高値で、相馬地区内でも最高値でした。過去の研究を踏まえて考えると、この内部汚染は吸入または事故初期からの汚染ではなく、帰還困難区域での自生のキノコ、野生植物、川魚の摂取によるものと考えられます。 そうはいっても、福島原発事故後に検出される内部汚染の最高値は、年々徐々に低下してきています。今までに報告されているCs-134とCs-137の最大値は、2012年の南相馬市で6,713 Bq / body、10,730 Bq / bodyでした。本症例はそれぞれ538 Bq / body、4,993 Bq / bodyで、2013年以降の南相馬市内の検査で3番目に高い値、2016年以降の最大値でしたが、その一方で年間の推定実効線量は0.20mSvと放射線被ばくによる確定的影響が懸念される100mSvを大きく下回っています。 過ごす場所の空間線量に依存する外部被ばくと異なり、内部被ばくは個人の生活状況(特に食生活)に依存します。以前の研究では、食事の好み、地元での汚染しやすい食品の摂取の有無など、いくつかの要因が住民の内部汚染に関与していることがわかっています。しかし本症例の場合、食事の好みではなく、経済的そして社会的支援がうまくいかなかったために、放射能汚染された食物の摂取を余儀なくされ、その結果内部汚染に結びついてしまったと考えられました。 つまり本症例は、以前から指摘されている食事要因に加え、貧しい人々に対する社会的支援の低下が、内部汚染の一因となる可能性があることを新たに示しています。空間線量も食品汚染レベルは時間とともに減衰はしますが、社会的要因は、急性期よりも慢性期(復興期)で高いレベルの内部汚染の要因となることも言えるかもしれません。放射線災害後の内部汚染の健康影響を最小限にするために、行政は災害後だけでなく、通常時から地元の福祉サービス提供者との連携を強化し、貧しい人々の医療・福祉へのアクセスを確保することが重要かもしれません。 … Continue reading
「廃棄」資料、一転公開 文書名特定、再請求に 原子力規制委、消極さ露呈via毎日新聞
原子力規制委員会が重要方針を決めた非公開の事前会議を巡る問題で、会議の配布資料を毎日新聞が情報公開請求したところ、規制委は「廃棄済みで不開示」とした。ところが、資料の表題を明示して再請求すると一転開示した。規制委は再請求にも「不開示」にする方向で手続きを進めたが、職員の一人が当時のメールに添付されていたと申告したという。規制委は陳謝し「事務処理上の不手際」と釈明する。情報公開に消極的な姿勢が浮かんだ。 規制委が開示したのは、関西電力3原発(高浜、大飯、美浜)に求める火山灰対策を議論するため、更田(ふけた)豊志委員長や石渡明委員、安井正也・原子力規制庁長官(当時)と担当者ら計11人が出席した2018年12月6日の非公開会議で配布された資料。右上に「議論用メモ」と印字され、①文書指導で関電に設置変更許可申請を求める案②関電に火山灰想定の再評価をさせる案――の2案が併記されていた。 更田委員長らは配布資料を基に①の案を退ける議論をしたのに、議事録を作成しなかった。規制庁は翌週12日の委員会(公開会議)で②の「再評価命令案」だけを提示、規制委はこれを決定した。 […] 広報室は「調査が不十分だったため、本来開示すべき文書が発見に至らず、不開示とした。改善に努める」としている。 規制委は配布資料について「結論を出さないブレーンストーミングで使われた資料」と説明し廃棄を正当化するが、有識者は「実質的に意思決定に影響を与えた文書なので保存すべきものだった」と批判している。【日野行介、田中龍士、向畑泰司】 […] 全文
特重遅れ高浜3、4号機停止へ via NHK News Web
高浜原子力発電所の3号機と4号機について、関西電力は国が期限を設けて設置を義務づけているテロ対策の施設の完成が間に合わないことから設置期限にあわせてことし8月以降、それぞれ運転を停止させる方針を固めました。 国が設置を義務づけているテロ対策の施設、「特定重大事故等対処施設」は、再稼働に必要な原発の工事計画の認可後、5年以内に設置することが義務づけられていて、原子力規制委員会は期限までに完成しない場合には原則、原発の運転停止を命じる方針を示しています。県内では、高浜原発3号機がことし8月に4号機も10月に設置期限が迫っていますが関西電力は期限までの設置は困難と判断し設置期限にあわせて運転を停止させる方針を固めました。一方で、完成時期についてはこれまで設置期限からおよそ1年程度遅れるとしていましたが、工程の見直しなどによって数か月程度に短縮できる […] テロ対策施設を巡っては、九州電力の川内原発1号機と2号機が期限内の設置が困難だとして同様に運転の停止を決めています。 動画と全文
Ontario can phase out nuclear and avoid increased carbon emissions via The Conversation
s wind and solar energy have become cheaper, they’ve become a more prominent and important way to generate clean electricity in most parts of the world. The Ontario government, on the other hand, is cancelling renewable energy projects at a reported … Continue reading
Netanyahu, in apparent stumble, calls Israel ‘nuclear power’ via Reuters
JERUSALEM (Reuters) – In an apparent slip of the tongue on Sunday, Prime Minister Benjamin Netanyahu described Israel as a nuclear power before correcting himself with a bashful nod and an embarrassed smile. Israel is widely believed to have an … Continue reading
圧縮版「福島原発事故と科学力失速に見る政府依存報道 via Blogos
団藤保晴 中央官庁官僚の理解力を超えられないで一国の現在、未来を語れるはずがない、と思っています。ところが、日本の新聞・放送など既成メディアは愚かな自己限界を知ろうともしません。限界に囲い込まれてぬくぬくです。表題のタイトルで、昨年末、立命館大産業社会学部【活字メディア論】ゲスト講義をしました。大教室で正味1時間20分の講義録『福島原発事故と科学力失速に見る政府依存報道』(2019/12/20)は長すぎますから、超圧縮版を作りました。途中の副見出しにあって語られていない内容は講義録にありますから参照してください。原資料へのリンクもそちらにあります。 (略) 2017年、世界の二大科学誌・英ネイチャー誌特集が「日本の科学力は失速」と明確に打ち出した際は理解すらできませんでした。翌年の2018年6月、科学技術白書が渋々と「日本の科学研究が近年失速、世界で存在感が無くなりつつある」と認めても無反応に近かったのです。今年の吉野彰さんノーベル賞受賞の記事後段で初めて、各社は一斉に科学力失速の現状を指摘、2000年から始まったノーベル賞ラッシュも長くは続かないだろうと伝えました。こんな場当たりで自前の見識が無いジャーナリズムが日本の新聞各社をはじめとした既成メディアの実態なのです。 「炉心溶融が2カ月も紙面から消えた怪」 「ばらばら事故調にほくそ笑む原子力ムラ」 「福島事故原因と責任隠蔽へのメディア無定見」 (略) ★2カ月間も隠蔽された「炉心溶融」 事故発生の翌3月12日午前段階で福島第一原子力発電所正門の放射線量がぐんぐん上昇し、放射性ヨウ素が見つかるとの報道を知って炉心溶融が起きて間違いなく核燃料の被覆管が損傷したと確信しました。日経新聞は冷却水が減って燃料棒の上半分が露出したと伝えました。ところが「炉心溶融」は新聞紙面、大手メディア報道から消え去ってしまい、5月半ばになって復活します。政府は炉心溶融を口にした原子力安全・保安院の審議官を発表の場から外しましたから、事故を軽く見せようとする意図があったと私は見ました。 これは世界標準の原発報道から見てあまりにも恥ずかしく、大阪本社から東京本社に専門家のコメントも付けて「炉心溶融している」との原稿が出されましたが、東京本社は政府が認めていないとして握りつぶしたと聞いています。真偽にいささか疑問符が付くものの、5年後の2016年に経緯が明らかになりました。炉心溶融が2カ月間も政府・東電の発表から消えた理由は、東電が判断根拠を持たなかったからであり、今になって調べると「社内マニュアル上では、炉心損傷割合が5%を超えていれば、炉心溶融と判定することが明記」されていたので、判断する根拠は備わっていました。大津波4日目には5%を超す損傷が確認されて法令に従った報告書が提出されていたのです。 福島原発事故で炉心溶融が隠蔽された問題の報告を読んで、東電の語るに落ちる無能さが再認識されました。無批判に隠蔽に乗っかった在京メディア各社も他人事のように報道すべきではなく、自らの責任も取るべきです。原発事故に際して公式の発表は福島現地の住民や国民に広く事態の真実を知らせるためにあるのです。その本分を外れて重大事態を軽く見せようとした東電、炉心溶融を口にした原子力安全・保安院の審議官を発表から外した政府も同罪ですし、メディア内部でも疑問の声が握りつぶされていたと聞きます。報道の自由世界ランキングを大幅に下げた国内メディアの覇気の無さはここから始まったのです。 「ネイチャー誌の明快な主張すら理解せず」 「日本だけ研究論文減で世界シェア大幅減」 「大学教員数減らしのための独立法人化だった」 続きは圧縮版「福島原発事故と科学力失速に見る政府依存報道