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現行制度は賠償措置額を超えた部分については、他の大手電力と協力して賠償する「相互扶助」といえる仕組みだが、電力自由化の流れの中で揺らいでいる。
議論に関わった原子力委員会専門部会の委員は「賠償額が想定より膨らむ恐れがある中、自由化で互いが競合相手になっている。相互扶助は大きな事業リスクで、いずれ行き詰まる」と口をそろえる。地域独占で運営されてきた時代と異なり、電力会社が経営に行き詰まれば、万が一の際の賠償が滞る恐れもある。
2011年の国会の付帯決議で「1年後をめど」とした賠償制度の抜本的見直しは、福島事故から7年以上を経て結局、現状追認となったが、現行制度が持続可能といえないのは明らかだ。
「不十分な備え」という現状を解消するため、政府や電力会社、民間保険会社など関係者は制度見直しについて今度こそ、期限を区切って資金確保の在り方を検討すべきだ。【岡田英】