どうする原発のごみ 欧州編<上>フランス粘土層で封じ込め 地震少なく地盤安定 via 日本経済新聞

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)は、放射線が十分下がるまで、数万年以上、地下深くに隔離する必要がある。欧州はそのための処分場の候補地を選び、地質調査や研究開発を進めている。日本も科学的に適地とされる地域を年内にも公表するが、地質環境が大きく違い実現へのハードルは高い。先行するフランスとスイスの現場を訪ねた。

パリから東へ約230キロメートル。人口約90人のビュール村がある。見渡す限り麦畑や牧草地が続き、目につくのは風力発電と牛くらいだ。この村に国内外から年間1万人の研究者や政府関係者が訪れる。目的はビュール地下研究所だ。

エレベーターで7分かけて地下約500メートルにある研究施設に降りると、1.6キロメートルにわたる坑道があった。作業員が24時間体制で掘削工事などを進める。坑道から直径80センチメートル、深さ40メートルの横穴が多数掘られ、1万点のセンサー類で岩石の圧力や温度の変化などを監視している。

原発から出る核のごみはガラスと混ぜて「ガラス固化体」にし、ステンレス容器に詰め、鋼鉄製容器に入れて安定した地層に掘った横穴に詰め込む。処分場の候補地は研究所の近くにあり、建設に必要な調査などをここで進めている。

地下研究所は、国が設置した放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2000年に建設を始めた。28の候補地が名乗りを上げた中、ビュールが選ばれた最大の理由は、地下の地質環境だ

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日本でも北海道幌延町と岐阜県瑞浪市に地下研究施設がある。ウズニアン氏は、ビュール周辺は「幌延と似たような地層」と言うが、日本の両施設では岩盤の割れ目から大量の地下水が流れ込む。地下水がほぼないビュールとは決定的に異なる。

ANDRAは25年に処分場の操業開始を目指す。仏にある58基の原発から出る核のごみを100年以上にわたって搬入し、2151年に埋め戻して閉鎖する。その量はガラス固化体換算で計1万立方メートル。処分費用は250億ユーロ(約2兆9000億円)を見込む。

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ビュールが選ばれたのは、仏でも所得水準の低い地域の一つという事情もある。地下研究所は約400人が働いている。広報担当のポリーヌ・フルニエさんは「高校の同級生は全員地元を離れたが私は残ることができた。農家の父も喜んでいる」と話す。国から周辺自治体に年3000万ユーロ(約35億円)の補助金も出ている。処分場建設時には2000人の雇用も生まれる見通しだ。

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