「電通の深層」大下英治著/イースト・プレス
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過労自殺が糾弾されても、自民党と同じように電通には反省がない。高橋まつり事件でメディアからの取材には答えないようにというお達しが出たという。
東日本大震災によって東京電力福島第1原発事故が起こった時もそうだった。
ある社員が上司に「これまでの東電べったりの態度は、改めるべきではないですか!」と申し立てたら、「われわれの給料も、東電からのカネが入っているのだ!」と一蹴された。
プロモーターの康芳夫は、「週刊文春」等で報じられた東京オリンピックの招致をめぐる疑惑で、フランス検察当局から、電通顧問で東京オリンピック・パラリンピック組織委員会理事の高橋治之に逮捕状が請求されたとみている。現在73歳の高橋は、電通入社後、国際本部海外プロジェクト・メディア局長などを経て専務となり、2009年に顧問に就任した。
高橋は「サッカーワールドカップとFIFAを支える巨額のテレビ放映権料の取引の最前線に、30年以上も立ち続けている」超大物だという。弟が東京協和信用組合をめぐる背任容疑で逮捕された高橋治則で、2005年に亡くなっている。
招致にからんで東京側から多額のおカネが、当時のIOCの委員だったラミン・ディアクに渡されたという疑惑を報じたのは、16年5月11日付のイギリスの新聞「ガーディアン」だった。電通がタブーとなっている日本のメディアはほとんど追及しない。
著者は「今もし、高橋に対して逮捕請求が出て、日本政府がそれに応じた場合、その時点で東京オリンピックは崩壊してしまう」と書いている。
原発もオリンピックも腐敗の中心に電通がいるのである。