台湾の新鋭作家、エゴヤンさん(39)が、台湾の第4原発事故をテーマにした小説「グラウンド・ゼロ」(白水社)を日本で翻訳出版したのに伴い来日し、6月に東京で講演会を開いた。
2011年の福島第1原発事故後、台湾では反原発運動が盛り上がった。エゴヤンさんは「現実への介入」を掲げ、13年に台湾で出版。実際の第4原発は完成直前だったが、小説では稼働した同原発がメルトダウンを起こし、台北含め北部一帯が立ち入り禁止区域となる想定だ。
執筆にあたり、原発技術者から聞き取りを行って同原発の課題を探り、資料を読み込んで被ばくに関する叙述などリアリティーを追求した。「現実と虚構を極力近づけることにより、再び現実問題にフィードバックすることができる」と語る。同書は台湾で反響を呼び反原発運動を後押し。台湾の蔡英文政権は今年1月、2025年までに原発廃炉を実現させる脱原発法を成立させた。
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