東京電力福島第1原発事故の避難指示が昨年9月に解除された福島県楢葉町で6年ぶりに本格的なコメの栽培が再開され、佐藤充男(みつお)さん(71)ら上繁岡地区の農家6戸が20日、復興工事車両が行き交う国道6号近くの水田約2ヘクタールで田植えをした。「仲間がいたからここまで来られた」と、喜びをかみしめた。
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しかし、喜び以上に悩みも多いという。「以前は無農薬栽培していた。今は努力しても、楢葉のコメだと言ったら、喜んで買う人はいない」と、収穫の半分は飼料用にする。住民不在の間に出没するようになったイノシシ対策も頭が痛い。4月28日現在、楢葉町に戻った住民は6.8%。町によると、原発事故前のコメの栽培面積410ヘクタールのうち、再開したのは20ヘクタール。佐藤さん自身、傷んだ自宅を建て直し今月帰ったばかりで、町外の仮設住宅から通う仲間もいる。「農業で暮らせることを示せば『俺もやっぺ』という人も出てくる」と、農村の再生へ踏ん張り続ける覚悟だ。【乾達】
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