「リニア新幹線」批判封殺の背後にJR東海タブーと原発利権  NHKにも圧力?via LITERA

(抜粋)

今月8日、「週刊プレイボーイ」(集英社)のウェブニュースサイトに、「リニア報道に圧力が? メディアは不都合な真実をなぜ伝えられないのか!」と題された記事が掲載された。執筆者はリニアへの取材を続けるジャーナリスト・樫田秀樹氏。その内容は、リニア計画に対する異論を封殺する動きがあることを指摘したものだ。

昨年12月8日に放送された『クローズアップ現代』(NHK総合)は、建設工事によって大量に発生する“建設残土”がテーマだった。大規模土砂災害を誘発するなどの危険性が問題となっている建設残土だが、リニア計画でも膨大な量が生み出されることが分かっている。樫田氏によると、市民団体「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」の代表が、NHK番組スタッフから事前に延べ10時間近くも取材されていた。しかし、オンエア前日に突如「生の声を放映できなくなりました」との電話がはいったのだという。実際、放送ではリニア関連の話題は異様に短かった。

樫田氏自身、昨年9月に『“悪夢の超特急”リニア中央新幹線』(旬報社)を上梓し、リニア計画の問題点を炙り出しているのだが、この書籍の出版に際しても一悶着あったことを明かしている。本書はもともと、14年春に別の出版元から刊行される予定だった。だが、翌週には書店に並ぶといったタイミングで、「出版社の上部組織である某大学から『待った』がかかった」。大学側の言い分は「本校において、研究者や卒業生で鉄道関連の事業に携わる者もいる。(リニアを批判する)この本の内容が大学の意図と思われるのは困る」というもの。すでに3000部を印刷し終えていたにもかかわらず、異例の断裁処分になったのである。

もっとも、リニア計画については、以前から言論封殺に近いケースが散見されていた。本サイトでも近藤正高氏による記事のなかで紹介したが、94年、JR東海のPR誌でリニア批判がカットされていたことが分かっている。「新幹線の父」といわれた島秀雄・元国鉄技師長が同誌のインタビューで「四百キロとか五百キロとかいった高速を狙うことは振動とか安全面からみて問題だから慎むべきだ」という趣旨の発言をしたのだが、JR東海側はチェック用のゲラなどを一切送らぬまま、島氏の意を無視して勝手にこの部分を削除したのだという。

(略)

前出の樫田氏は「週プレ」の記事をこう締めくくっている。

「スポンサーがらみの検証報道がなされないのは、リニアに限った話ではない。だが史上最大規模の環境問題(残土問題や水枯れなど)が起きうるかもしれない巨大事業に沈黙し、監視者としての責任を放棄していいはずはない。同じように、その危険性が指摘されながら国民的検証がないままに推進され、大事故を起こしたのが原発ではないか──」

ピンときた読者もいるだろう。そう、リニア計画の“国策化” は、原発再稼働とも関係しているかもしれないのだ。現在、JR東海はリニアの消費電力の詳細を公開していないが、新幹線の3倍(一説には4〜5倍以上)もの膨大な電力が必要だとされている。その電力をどう供給するのか──樫田氏は「世界」(岩波書店)15年2月号でのジャーナリスト・斎藤貴男氏との対談のなかで、このように語っている。

「リニアが原発からの電力を使うかどうかは、公式的にはJR東海は何とも言っていません。ただ、JR東海の実質的な最高経営者である葛西氏は繰り返し原発再稼働を求めていますし、実際、リニア実験線で使われる電力は、主に柏崎刈羽原発からの日本初の超高圧送電線によって送られてきました。リニアと原発はセットとの可能性は否定できない」

3.11直後、原発推進の旗ふり役である読売、産經新聞すら声を大にして“原発擁護”を喧伝できないなか、月刊誌「Wedge」は、11年6月20日発売の7月号で「それでも原発 動かすしかない」という特集を大々的にくんだ。この雑誌の発行元・ウェッジはJR東海グループの出版社である。葛西名誉会長自身、新聞紙上などでさかんに原発再稼働の必要性を論じているのも有名な話だ。

仮説である。もし、安倍首相の敷く原発政策に、既得権益を持つオトモダチへの“義理”があるのならば。もし、これを世間から隠すために、リニア批判に対する圧力を強めているのだとすれば……。

もはや安倍政権は、国民の声を聞く気などさらさらない。そういうことになる。

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