首都圏で福島県産の農産物価格が低迷している。東京電力福島第1原発事故から6年8カ月が過ぎ、消費者の購買意欲が回復してきたにもかかわらず、市場価格の動きは鈍い。農林水産省は2017年度、仲卸、小売業者の取引経過の実態調査に乗り出したが、状況打開につながるかどうかは不透明だ。(報道部・門田一徳)
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この日の売り上げは約5万8000円。通常のマルシェの1.5倍に上った。同会の斎藤登代表は「希望額と売上額がほぼ同じだった。価格低迷の原因は消費者よりも流通段階にあるのではないか」と指摘する。
福島県の農産物を求める首都圏の消費者意欲は着実に回復している。福島県が9月に行った調査では「買いたい」「買ってもよい」との回答が7割を超えた。
それでも、市場の反応はさえない。15年以降、東京都中央卸売市場の福島県産主力4品の全国平均との価格差は表の通り。
とりわけ果樹への影響は深刻だ。生産量全国3位のモモは、17年1~9月の全国平均との価格差が1キロ当たりマイナス141円で、震災前の10年(マイナス44円)の3倍を超えた。リンゴやネギ、ナメコも震災前水準に満たない。
市場の評価は、市場価格に基づく小売業者などとの直接取引に連動する。「福島県産品を他産地より安く買い、他産地と同額で売る店もある」(農協関係者)など利ざや稼ぎの標的にされるケースもあるという。[…]