「美味しんぼ」の描写が波紋 被曝で鼻血/「福島に住んではいけない」 抗議相次ぐ via 朝日新聞

週刊ビッグコミックスピリッツの人気漫画「美味(おい)しんぼ」の東京電力福島第一原発事故をめぐる描写に対し、福島県や地元政界などが12日、発行元の小学館に相次いで抗議した。問題視するのは登場人物が放射線被曝(ひばく)と鼻血の因果関係を指摘したり、「福島に住んではいけない」と述べたりする場面。県内には風評被害への懸念が根強い一方、強まる抗議に「被曝への不安が口にしにくくなる」と心配する声もある。

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■「事実か疑問」「実情知る契機に」

福島県民の受け止めは様々だ。福島市の学童保育指導員佐藤秀樹さん(47)は「放射線への不安は当然ある。それでも多くの人が県内で懸命に子育てをしている事実をどうみているのか」と首をかしげる。内部被曝検査や食品の放射線量をチェックすることで、被曝への不安は少しずつ和らいだ。「事実を積み重ねた表現とは思えない」という。

これに対し、原発事故の刑事責任を問う原発告訴団長の武藤類子さんは「私も事故後、鼻血が出るとの訴えを耳にする。放射性物質の存在も事実だし、因果関係がないとは断定できないはず。鼻血の表現にこぞって大抗議をすることに違和感を覚える」と話した。

ツイッターで批判の口火を切り、つぶやきが1万回以上リツイートされた郡山市の塾講師「順一」さん(32)は「主張を封じるのではなく、問題点を検証し、より多くの人に福島の実情を知ってもらうきっかけになれば」と話す。

<問題とされた描写>

問題とされたのは先月28日と今月12日発売号。前者では福島第一原発の構内を取材した主人公らが原因不明の鼻血を出し、福島県双葉町の 井戸川克隆・前町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と語る場面が描かれた。続く12日号では、井戸川氏の「鼻血や疲労感で苦しむ人が大勢いるの は被ばくしたから」「今の福島に住んではいけない」との発言を紹介。福島大の准教授も実名で登場し「福島はもう住めない、安全には暮らせない」「福島を広 域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと私は思います」と語る場面も描かれた。

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