福島第1原発ルポ 2、3号機間の通路公開 跳ね上がる放射線量 via iza

福島第1原発ルポ(上)

【原発最前線】

未曽有の原発事故から間もなく8年を迎えるのを前に、東京電力福島第1原発の構内が報道陣に公開された。炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機のうち、2、3号機の間の通路に防護服なしで行き来できるようになるなど着実に作業環境の改善は進んでおり、かつての“戦場”のような雰囲気は全くない。ただ、廃炉作業中の原子炉建屋に少しでも歩み寄れば急上昇する線量計の値が、今後の道のりの険しさを改めて実感させた。(福田涼太郎)

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■“四者四様”…まるでオブジェ

現在はピーク時の半分以下の1日当たり約4千人の作業員が出入りする福島第1原発。構内を行き来する多くの作業員らは顔を露出しており、昨年4月に運行を始めたという自動運転の電気自動車が作業現場まで運んでいた。東電の広報担当者によると、現在は敷地内の96%のエリアが簡易マスクと一般作業服、または何も身につけずに立ち入ることができるという。

最初に案内されたのは事故炉となった1~4号機を見渡せる高さ約35メートルの高台。それぞれの原子炉建屋まで100メートル程度の近さだが、手袋はおろかマスクの着用すら求められない。

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水素爆発で鉄骨があらわになったままの1号機をはじめ、爆発は免れたが内部に放射性物質が充満しており建屋上部に作業員や機器が待機するための大きな箱状の設備が取り付けられた2号機▽3月末から始まる使用済み燃料取り出しに向け、かまぼこのような半円型のカバードーム屋根で覆われた3号機▽かつて燃料取り出し作業で使われた巨大なL字型の設備が設置されたままの4号機-と、状況が“四者四様”なのが非常に印象的。さながら美術館に並ぶ巨大なオブジェを見ているかのようだった。

■一瞬で線量上昇

その後、2、3号機の間を通る幅約12メートルの通路を訪れた。2、3号機の内部には溶け落ちた高線量の核燃料(デブリ)が手つかずのまま眠っており、炉内に近づける状態ではない。この通路も漏れ出てくる放射性物質の濃度が高かったため、昨年5月までは立ち入る際に防護服の着用が求められていた。

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両隣にそびえる高さ40メートル以上の原子炉建屋は圧迫感がある。3号機の建屋は特に水素爆発や津波による破損がひどく、むき出しになった壁の鉄材などが今も生々しさを残している。

通路の中央にいた広報担当者の空間線量計は毎時250マイクロシーベルト。ところが3号機側に数メートル近寄っただけで数値はみるみる上昇し、350マイクロシーベルトに達した。1マイクロシーベルト以下だった正門付近の数百倍だ。ちなみに取材者に設定された1日当たりの上限被曝量は100マイクロシーベルトで、単純計算すると15分余りの滞在で上限に到達することになる。この場は促されて5分程度で立ち去ることに。

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■原子炉内部は「何も変わらず」

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ただ、その手始めとなる原子炉建屋からの使用済み燃料取り出し作業は相次ぐトラブルで足踏み中だ。既に終了した4号機を除く3基で作業が行われるが、うち先陣を切る3号機は30年度半ばの予定だった作業開始が「3月末めど」に延期された。

今回は廃炉作業の目に見える進展や変化を取材するつもりだった。だが、いまだ原子炉建屋近くの高い線量を目の当たりにし、8年たっても原子炉内部という“目に見えない部分”は何も変わっていないという「現実」を突きつけられた。

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