(悩みのるつぼ)「原爆の街」に住むのが不安という女性 via 朝日新聞

(悩みのるつぼ)相談者 30代女性

 30代後半の女性です。可能でしたら、美輪さんにアドバイスを頂きたい相談があります。

私は小学生の頃、原爆をテーマにした漫画「はだしのゲン」を読んで以来、広島に対して「怖い場所」というイメージを抱いており、考え出すと夜も眠れません。広島在住の方には大変申し訳ないのですが、以前は「一生広島を訪れることはないだろうな」と思っていました。

しかし、縁あって数年前に結婚した相手は、広島出身の同年代。2人の子供にも恵まれました。夫の実家に帰省する際は、いつも「瀬戸内地方のいい街だな」と感じています。

(略)

一時的に帰省するのと永住とでは大違い。私はとても不安に思っています。広島に対するイメージを拭えないまま引っ越し、現地で生活していけるのか、ストレスにならないか……。夫にも打ち明けたところ「今は平和だし安全。全然怖いところなんかじゃないから安心しなよ」と言われますが、私はまだ心のどこかでモヤモヤしています。

前向きに暮らしてゆくには、どうすればいいでしょうか。

回答者 歌手・俳優、美輪明宏さん

この相談者の方は、広島に対する先入観がこびりついているようですね。まず、なぜ怖いのか。おばけなんて出ません。何が怖いのかというと、戦争ですよね。戦争が怖いのは、当たり前です。

広島だけでなく、あの戦争では日本中が焼け野原にされました。今ではまるで戦争がなかったかのような街並みですが、東京や横浜、大阪の大空襲後の写真をご覧になって惨状を実感して下さい。

私も長崎で原爆を体験しました。長崎は山や丘が爆風などから人々を守った分、広島の方が被害が大きかったのですが、要はあの戦争では、日本中が灰にされたのです。「怖い」というなら、あなたが今まで住んできた街だって同じではないですか。

そもそも、なぜ戦争が起きるのか。今の子供や若い人は、日本のひどい歴史や悲惨な過去を、あまりにも知らなさすぎです。親から「子供たちに残酷な話をするな」と苦情がくるのが面倒で、学校で先生が教えていないのでは?

まずは、教育委員会の人や教師たちを教育し直さないといけないのではないかと思うほどです。相談者の方も、戦争の経緯や被害に目を背けず、もっと知るべきです。

原爆ドームは戦争反対のシンボルで世界遺産。怖いどころか誇るべきであり、そんな場所の近くに住めるだなんて本当にうらやましいことです。お子さんの教育にももってこいで、いいことしかありません。同じ世界遺産の宮島(厳島神社)も、大変美しい場所です。

全文は(悩みのるつぼ)「原爆の街」に住むのが不安という女性 

 

This entry was posted in *日本語 and tagged , , . Bookmark the permalink.

Leave a Reply