福島第一原発事故で業務上過失致死傷の罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3人の裁判で、津波の高さを試算した東電の関連会社の担当者が証人として出廷しました。
東電の元会長・勝俣恒久被告(77)ら3人は、福島第一原発で津波による浸水で爆発事故が発生する可能性を予見できたのに適切な対策を怠り、死傷者を出した罪に問われています。
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福島第一原発に最大で15.7メートルの津波が来ると試算した関連会社「東電設計」の担当者が出廷しました。津波の高さのシミュレーション方法などについて説明しています。試算は東電からの依頼で行われましたが、実際の対策には生かされず、この経緯などについて午後も引き続き審理されます。
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28日に証人出廷した子会社社員は、東電の担当者に試算を報告した1カ月後に「海抜10メートルの敷地に高さ10メートルの防潮壁を設ければ浸水を防げる」とのシミュレーション結果を伝えたと説明。「(浸水を防ぐ)他の案を東電側で検討することになったが、その先どうなったかは分からない」と述べた。
検察官役の指定弁護士側の主張によると、08年6月に試算結果の報告を受けた武藤栄元副社長(67)は、いったん担当者に対策の検討を指示。その後、詳しい検討を専門家に委ねることとし、試算に基づく対策は取らなかった。
4月の次回公判以降は、月に4~5回の集中審理が予定されており、東電関係者や専門家の証人尋問が進むとみられる。