電力やらせ体質根深く 核ごみ会合、日当で動員 経産省、NUMO via 佐賀新聞

原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場候補地絞り込みに向け、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)が住民向けに5都府県で開いた意見交換会で、広報業務を委託された会社が学生39人に日当や謝礼を持ち掛け、参加させていたことが14日分かった。NUMOが記者会見で明らかにした。

このうち6日にさいたま市で開かれた会には、1人1万円の日当を約束した上で学生12人を動員。10月から11月上旬にかけてあった東京、愛知、大阪、兵庫の会では、学生サークル向けに活動場所や印刷物の提供など1人5千円相当の謝礼を約束し27人を動員していた。栃木、群馬、静岡、和歌山、奈良の5県でも謝礼で動員を掛けたが、参加者はいなかった。

NUMOによると、学生を動員していたのは、若年層への広報を担当していた2次委託先のマーケティング企画会社「オーシャナイズ」(東京)。NUMOは「金銭を支払う形での募集は決して行わないはずだったが、委託先の社内管理に不徹底があった。実際には日当や謝礼を提供していないと確認した」と謝罪した。しかし不透明な運営が批判を浴びるのは必至で、処分場選定の手続きは大きくつまずきそうだ。

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■電力「やらせ」体質根深く

原発を巡る住民説明会やシンポジウムでは過去にも、電力会社が職員や関係者を動員し「原発賛成」を表明させていたことが発覚している。国民の理解が欠かせない高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分地選定に関わる説明会でも動員が繰り返されていたことで、根深い「やらせ」体質が浮き彫りとなった。

電力会社などのやらせは、原発の再稼働や核のごみ最終処分など国民に反対意見が残る政策や事業を進める際、有利な世論をつくる狙いがある。

不透明な世論形成が明るみに出るきっかけとなったのは九州電力の「やらせメール問題」。東京電力福島第1原発事故直後の2011年7月、九電が玄海原発2、3号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に向けた佐賀県民向け番組に、再稼働を容認する意見を投稿するよう子会社などにメールで依頼していたことが発覚した。

佐賀県の古川康知事(当時)が九電幹部に再稼働には「容認意見が必要」と伝えたことがきっかけとされた。九電の真部利応社長(当時)は翌12年、辞任に追い込まれた。

政府がやらせを促した事例もある。九電のやらせ問題を受けた調査では、中部電力と四国電力が、国主催のプルサーマル計画に関するシンポジウムで、政府の旧原子力安全・保安院から動員の要請や、住民の発言を促すやらせの依頼があったと公表。北海道電力泊3号機(北海道)のプルサーマル計画に関する08年の住民シンポジウムでは、経済産業省資源エネルギー庁の担当者が北海道電側に「推進側での発言の準備をお願いしたい」と要請していたほか、北海道職員もやらせに関与していた。【共同】

 

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