原爆投下部隊アルバム 「第509混成群団」21日から公開 via Yomiuri Online

 ◇東住吉 編成や生活知る史料

 第2次世界大戦で、広島、長崎に原爆を投下した米軍の「第509混成群団」が作成したアルバムが、大阪市東住吉区の「須田画廊」で21日から始まる「模擬原爆展」で公開される。搭乗員がB29爆撃機の機体の前に集まって撮った写真や、太平洋・テニアン島の基地内を写した写真が収録されており、研究者は「群団の部隊編成や基地での生活がわかる貴重な史料」としている。(南部さやか)

 模擬原爆は広島、長崎に投下された原爆と同じ形状、重さで、原爆の投下訓練用として米軍が開発した。模擬原爆の調査、研究をしている愛知県春日井市の「春日井の戦争を記録する会」によると、同群団は1945年7月20日から8月14日にかけて、東京、大阪、愛知など18都府県の約30都市に計49発を投下。400人以上が死亡、1500人以上が負傷した。東住吉区の田辺地区では、7人が死亡、73人が負傷したという。

(略)

アルバムは同会が1996年に米軍関連の史料収集家から入手したもので、約100ページある。隊員がそれぞれ、自分が乗り込む機体の前に集まって撮られた写真のほか、広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」のポール・ティベッツ元機長(2007年、92歳で死去)も、顔写真とともに紹介されている。エノラ・ゲイが日本に向けて出撃したテニアン島の基地内にはダンスホールやプールがあり、そこでくつろぐ隊員の写真も収められている。

 同会によると、アルバムは終戦後、テニアン島の基地を去るときに作成され、隊員のみに配布されたという。同会と共同で模擬原爆の研究を続け、ティベッツ元機長と95年に対談した元徳山高専教授の工藤洋三さん(67)は、「当時はベールに包まれていた、群団内部の様子を知ることができる」としている。

 史料展を企画した一人で、実行委の大久保敏さん(70)は、「模擬原爆を知らない人はまだ多い。証言者も高齢で亡くなる中、展示を通じて広島、長崎につながる被害があったことを知ってほしい」と話している。

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