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原子力機構を巡っては安全管理体制の不備が指摘されており、当時の作業が適切に実施されていたのかなどの解明が今後の焦点になる。
この粉末は、敷地内にある高速実験炉「常陽」(1977年に初臨界)で実験する燃料の試料を作った際に出たくずで、約300グラムあった。粉末はまずポリエチレン製の容器に入れられ、二重のビニール袋で密閉したうえで、金属製容器に入れて91年から26年間保管していた。開封した記録は確認できないという。
今回の点検は、原子力機構の別の施設で原子力規制委員会から核燃料物質の不適切な管理を指摘されたのを受けて、実施していた。同機構は今回と同様にウランとプルトニウムを含む粉末を保管した金属製容器計21個を点検する計画で、事故が起きたのは最初の1個の点検中だった。
なぜビニール袋が破裂したのか。出光一哉・九州大教授(核燃料工学)は「ウランやプルトニウムなどは時間がたつと原子核が崩壊し、ヘリウムの原子核(アルファ線)が飛び出す。長期間保管してヘリウムガスがたまり、容器の内圧が高まって破裂した可能性はある」と指摘する。
原子力機構の関係者もこの可能性を認め「破損の可能性があるポリエチレン製容器を長期保管で使うのはよくなかったかもしれない」と明かした。
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今回の事故は、鼻や口などから放射性物質を体内に取り込んだ内部被ばくのケースで、外部被ばくによるJCO臨界事故(1999年)とは異なる。JCO事故では、作業員2人が6~20シーベルトの外部被ばくをして死亡したが、これは一瞬で大量に被ばくしたため急性症状が出た。内部被ばくは体内にとどまった放射性物質が放射線を出し続けるため、体外に排出されるか、放射線が弱くなるまで人体に影響を及ぼし続ける。
今回、放射性物質を最も多く取り込んだ50代男性の肺からは、2万2000ベクレルのプルトニウム239(半減期2万4100年)と、220ベクレルのアメリシウム241(同432年)が検出された。これらは、放射線の中でも人体への影響が大きいアルファ線を出すため、肺が受ける被ばく線量は大きい。暫定評価では、被ばく線量は今後50年間で12シーベルト、1年間で1・2シーベルトと推定された。放射線業務従事者の法定許容限度は年50ミリシーベルト(1シーベルトの20分の1)だ。 放医研は5人の治療のため、放射性物質の体外への排出を促す「キレート剤」を点滴し、効果を見極める。JCO臨界事故の際、作業員の治療に当たった前川和彦・東京大名誉教授(救急医学)は「1、2週間のうちに、プルトニウムがどれぐらい排出されるか見極める必要がある」と話している。【酒造唯、阿部周一】
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