2月下旬の再稼働が確定的となっていた福井県高浜原発4号機で、20日午後、放射性物質を含む一次冷却水が漏れ出していたことが発覚した。高浜原発では1月29日に3号機を再稼働させたばかりで、それから1カ月も経たない4号機の重大事故に衝撃が走っている。
だが、当事者である関西電力、そして福井県原子力安全対策課は早々に「大きなトラブルではない」「周辺環境への影響はない」と事故を過小評価するのに必死だ。
そして、なぜかこうした“原子力ムラ”の言い分がまかり通り、原発の危険性に警鐘を鳴らす報道はほとんど見られなくなっている。
最近もある重大なニュースが無視されてしまった。それは、福島原発事故の後の子どもたちの甲状腺がんの増加だ。2月15日、福島の有識者会議「「県民健康調査」検討委員会」が会見で、事故後、甲状腺がんと診断された福島県の子どもたちは167人に上ると公表したのだ。
福島原発事故後の2011年10月から始まった当時18歳以下だった子どもへの甲状腺がんの検査だが、現在は1巡目が終わり2巡目の検査が行われ ている。そこで新たに甲状腺がんまたはがんの疑いの子ども51人(男性21人、女性30人)が発見され、最初の検査と合計で167人という膨大な人数に膨 れ上がっている。
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要するに何もわからないけど、でも事故とがん増加は関係ない。無責任にもそう断定するものなのだ。しかも最終案には「数十倍多い甲状腺がんが発見されている」と明記されているにも関わらず、だ。
いや正確な発生率はそれ以上という指摘もある。昨年8月には岡山大学大学院の環境疫学の専門家である津田敏秀教授を中心とした研究グループが甲状 腺がん発生率は国内平均の20~50倍であり、潜伏期間やチェルノブイリでのデータから今後も増加は避けられないと公表している。これに対し、政府や原発ムラ学者たちは、甲状腺がんの増加を「過剰診断」や「スクリーニング効果」などと反論したが、それでも説明はつかないほどの増加だという。
さらに「検討委員会」に先立つ今年1月22日、国際環境疫学会(ISEE)は日本政府に対して「福島県民における甲状腺がんのリスク増加は、想定よりはるかに大きい」と懸念を表明し、リスクの推定をきちんとやるよう警告する書簡を送ったことも明らかになっている。
福島県の子供たちに甲状腺がんが多発し、国際機関からさえも指摘を受けているにもかかわらず、政府や“お抱え“学者たちは、決してそれを認めない。今後さらに甲状腺がんが激増しようともその姿勢は変わることはないだろう。
もちろん今回の高浜原発4号機事故にしても同様だ。記事直後から「漏洩した放射性物質の量は国の基準の200分の1以下で、作業員も被ばくしてい ない」などと嘯いているが、高浜4号機では福島原発事故後でも、同様の一次冷却水が漏れる事故が起きていたことも判明している。
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こうした問題は高浜だけではない。福島原発事故後も福井県美浜原発2号機や北海道泊原発、茨城県東海原発、愛媛県伊方原発など冷却水漏れが続いているが、いずれのケースも今回同様「環境に影響がない」として政府や電力会社は“事故”として認める姿勢が極めて低い。
こうした姿勢、本心が露骨に現れた典型例が環境相の丸川珠代議員の発言だ。
2月7日、丸川議員は長野県の講演で、東京電力福島第1原発事故後に、国が除染に関する長期努力目標として「年間1ミリシーベルト」と定めている ことに関し「何の科学的根拠もない」「反・放射能の人がワーワー騒いだ」と発言して大きな問題となった。さらに衆院予算委員会で発言を追及された丸川議員 は一旦はそれを否定したが、後日、一転して謝罪をするドタバタぶりを露呈した。しかしこれは丸川議員個人の問題や見解ではないだろう。原発再稼働や海外輸 出をがむしゃらに推し進める安倍政権の“ホンネ”が表れたにすぎない。
全文は丸川珠代発言こそが日本のホンネか? 福島で甲状腺がんの子どもがさらに増加するも政府、県、メディアは黙殺
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