九州電力川内原発(薩摩川内市)1号機の再稼働が迫る中、「川内原発30キロ圏住民ネットワーク」など県内外の17市民団体は27日、原発再稼働について、容認する県に対し「命を傷つけ、ふるさとを奪う」などと改めて抗議し、再稼働に反対するよう申し入れた。
申し入れ書で、国の原子力災害対策指針に基づき、原発5キロ圏内住民(3歳以上)の甲状腺被ばくを低減させる安定ヨウ素剤の配布について「3歳未満には事前配布されておらず、どこでどのように飲ませるのか具体化されていない」と指摘。現状での再稼働について「避難計画は欠陥だらけで、訓練も先送りにされている」と批判している。
各団体の代表者らは申し入れ後、県庁で記者会見。メンバーで鹿児島市の医師、青山浩一さんは、避難計画で5〜30キロ圏の住民が放射線量の実測値に応じて避難・屋内退避とされていることに触れ、「今の計画は被ばくしながら避難しないといけない。(安定ヨウ素剤は)1錠5・6円。距離に関係なく事前に個別配布してほしい」と訴えた。
一方、17市民団体は26日、鹿児島市内で「原子力防災を問う全国の集いinかごしま」を開催。福島第1原発事故の元国会事故調査委員会委員で医学博士の崎山比早子さんが「放射線被ばくと甲状腺疾患」と題し報告した。
[…]「服用に注意を要する人はいるが、安定ヨウ素剤は副作用が少ない薬剤として知られている」とした。
その上で「服用までに時間が経過するほど(放射性ヨウ素を)阻害する効果が下がる。事故時は平時に取り決めたとおりにならないので、安定ヨウ素剤は自分で持っておいた方がいい」と個別配布の必要性を強調した。【杣谷健太】
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