東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難生活を余儀なくされ、その後自殺した福島県浪江町の男性の遺族が起こした裁判で、被告の東京電力は先月言い渡された賠償を命じる判決を受け入れて、控訴しないことを明らかにしました。原告側も控訴しない方針で、原発事故と自殺との関係を認めた判決が確定することになりました。
原発事故で避難生活を余儀なくされ、その後自殺した浪江町の五十崎喜一さん(当時67)の遺族が起こした裁判で、福島地方裁判所は先月30日、原発事故と自殺との間に因果関係を認めて、東京電力に合わせて2700万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
五十崎さんの妻の榮子さんや弁護士などは9日、東京・千代田区にある東京電力の本店を訪れ、非公開の会合の中で東京電力は控訴しない方針を明らかにするとともに、謝罪のため近く自宅を訪れる考えを伝えたということです。
五十崎榮子さんは「夫に謝罪してもらえると聞いて心が和みました。謝ってもらえれば夫も成仏できると思います」と話しました。
東京電力福島原子力補償相談室の近藤通隆室長は「判決内容に納得ができたので控訴しないことを決めました。ほかの訴訟に対しても引き続き真摯(しんし)に対応したい」と話しました
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