東京電力や東芝など原発推進企業の幹部らが国立大学(独立大学法人)の理事や経営協議会委員として大学運営に関与する例が、全国89大学のうち60大学に 及ぶことが筆者の調査でわかった。国立大学に入り込んだ原発ムラ関係者は、電力7社、原発メーカー、原発産業を支える銀行、原発推進の論調を展開する大メ ディアのほか、原発企業と縁の深いJRやトヨタなど58社延べ88人。60大学の理事や監事、学長選考会議委員といった役職についている。原発企業汚染が もっとも深刻なのは九州大学と東京大学で、九大は九州電力などから5人、東大は東芝・三菱重工・新日鉄住金から4人が送り込まれていた。人事だけでなく、 原発企業から大学にカネが流入している疑いは濃厚だが、取材に対して東京大学広報課は「答えられない」と沈黙。原発ムラが国立大学の経営に介入するなか、 原発推進に不利な研究が不可能になる日も遠くない。(末尾で一覧表ダウンロード可)
【Digest】
◇北洋銀頭取が学長選に口出しか。疑惑の北海道教育大
◇学長お好みの「学長選考会議」という茶番
◇原発保有7電力会社から10大学へ12人
◇原発産業11社から17大学へ、延べ22人
◇原発産業支える銀行も国立大学経営に介入
◇脱原発になれば銀行員の退職金が目減りする
◇原発推進の「読売」渡邉恒雄会長も国立大経営に口出し
◇原発企業からの資金提供は――沈黙の東京大(略)
◇ 学長お好みの「学長選考会議」という茶番
学長選考会議の結論は、火を見るより明らかだった。選挙結果を一顧だにせずに本間氏を学長に選んだ。選考理由も説明しないという密室ぶりだった。さらに2年後の2013年、本間学長は3度目の学長選に立候補した。やはり同様に「学長選考会議」の密室で再々任を決めた。現在8年目になる長期政権を手にした本間氏は、現在、意向投票そのものの廃止を画策しているという。
権力への執着、そして民意を平気で無視するやり方は、まるでいまの安倍政権のミニチュアを見るようである。だが問題の本質は、本間氏個人というよりも、本間氏を支える者たちにあるだろう。
北海道教育大の学長選考委員は16人。民間人は7人。問題の学長選挙があった2011年当時、この7委員のなかで特に力を持っているとみられるのが、高 向厳氏だ。北洋銀行の代表取締役会長である。北洋銀行の大株主は北海道電力で4・47%の株を保有。いうまでもなく、北海道電力は、泊原発を抱える原発企 業だ。
学長選考会議だけではない。その後、北洋銀行は北海道教育大の役員にも食い込んだ。最新の役員名簿をたしかめたところ、中尾進・元常務取締役(現交洋不動産相談役)が同大学の監事になっていた。
北海道電力を大株主に持つ銀行が北海道教育大の運営を担う。学長選びにも介入する。こんなことでは、原発政策に批判的な研究など、できっこないではないか。そのような危惧を筆者は持った。
全文は国立60大学の役員・委員に電力会社幹部ら“原子力ムラ”の住民88人が就任していた! 原発企業介入度ランキング1位は九大と東大