「宮城、東北の魅力をアピールして中国人観光客を呼び込みたい」――
今年8月時点で来日した中国人旅行者がすでに昨年一年間を上回るほど賑わっている。まさに「政冷経熱」を彷彿とさせる状況だ。政冷経熱は胡錦濤前国家主席が作ったという言葉だが、多くの日本人がイメージする中国人=反日と少し現実は違うのかもしれない。
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観光庁の宿白旅行統計調査によると、震災の年に大きく落ち込んだ中国人観光客数は、東京や全国的には、戻りつつあるようだが、宮城、岩手、福島といった東北3県の回復は遅れている。そこで日本政府は、被災した東北3県への観光支援として、震災直後の2011年7月から「東北三県数次査証」を開始した。東北三県数次査証とは、中国人向け個人観光ビザで、宮城、岩手、福島のいずれかの県に1泊以上することを条件に取得でき、滞在期間最大90日、3年間有効で何度でも日本へ入出国できる個人向けマルチビザを提供する制度である。同制度は、沖縄県でも実施されている。この制度を存分に生かして観光誘致へつなげるのが東北3県の狙いだ。宮城県経済商工観光部の三浦さんに話を聞いてみると、「上海より大連のほうが反響が大きく昨年以上の手応えを感じています。宮城での人気観光地は松島で、他にも温泉と健康診断や治療をセットにした医療ツーリズムも人気を集めています」と話してくれた。続けて、放射能の風評被害は感じるかと尋ねると、「今ではほとんど感じませんし、質問されることも少なくなっています」と笑顔で答えてくれた。
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