【インタビュー】原発のある町、半数が財政悪化  伊藤久雄氏(東京自治研究センター)via 農業協同組合新聞

 原発がある市町村は原発関連で国からの交付金が多く財政は豊かだと思われている。そもそも原発立地に賛成したのも雇用を生みだし過疎化を防ぐためでもあった。ところが、なかにはその町の財政規模の2倍から3倍もの借金を背負っている自治体が少なくないのだという。
なぜ、こんなことになってしまったのか? 今回の事故以前から、原発立地市町村の財政を分析し、原発に依存しない地域づくりへの転換を提唱してきたのが (公益社団法人)東京自治研究センターの伊藤久雄研究員だ。今月発売の岩波新書『原発を終わらせる』の執筆者の1人として論文を寄せ、この問題に改めて焦 点を当てている。伊藤研究員に原発依存の自治体の実態と、そこからの脱却をいかにめざすべきか、話を聞いた。

戦後の日本社会は地方から大都市に人口が流出し農山漁村では過疎化が進んだ。
伊藤さんも出身は新潟県の旧高柳町だ。(現在は柏崎市高柳町)。昭和30年代、農地の平均は3反で、みな出稼ぎをしなければ家族を養っていけなかった。昭和30年時点の人口は約1万人だったが、現在は1800人ほどまで減っているという。
出稼ぎをしなければ食べていけなかったというのは福島県の農村部でも同じだった。そんな状況のなか、双葉町や大熊町などは出稼ぎ依存からの脱却を原発に託したともいえる。
高柳町出身の伊藤さんは、かねてから、このように農村として抱えていた問題が同じだった双葉町などの自治体と自分の故郷とにどんな違いが生まれてきたのかに関心を持ってきた。そのなかで原発立地自治体の人口や財政を分析するようになったのだという。

(写真=伊藤久雄氏(公益社団法人)東京自治研究センター研究員)

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