原子力規制委員会が重要方針を決めた非公開の事前会議を巡る問題で、会議の配布資料を毎日新聞が情報公開請求したところ、規制委は「廃棄済みで不開示」とした。ところが、資料の表題を明示して再請求すると一転開示した。規制委は再請求にも「不開示」にする方向で手続きを進めたが、職員の一人が当時のメールに添付されていたと申告したという。規制委は陳謝し「事務処理上の不手際」と釈明する。情報公開に消極的な姿勢が浮かんだ。
規制委が開示したのは、関西電力3原発(高浜、大飯、美浜)に求める火山灰対策を議論するため、更田(ふけた)豊志委員長や石渡明委員、安井正也・原子力規制庁長官(当時)と担当者ら計11人が出席した2018年12月6日の非公開会議で配布された資料。右上に「議論用メモ」と印字され、①文書指導で関電に設置変更許可申請を求める案②関電に火山灰想定の再評価をさせる案――の2案が併記されていた。
更田委員長らは配布資料を基に①の案を退ける議論をしたのに、議事録を作成しなかった。規制庁は翌週12日の委員会(公開会議)で②の「再評価命令案」だけを提示、規制委はこれを決定した。
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広報室は「調査が不十分だったため、本来開示すべき文書が発見に至らず、不開示とした。改善に努める」としている。
規制委は配布資料について「結論を出さないブレーンストーミングで使われた資料」と説明し廃棄を正当化するが、有識者は「実質的に意思決定に影響を与えた文書なので保存すべきものだった」と批判している。【日野行介、田中龍士、向畑泰司】
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