原発事故のチェルノブイリに迷い犬が千匹以上 里親探しも進む via Livedoor News

【AFP=時事】史上最悪の原発事故が起きたウクライナチェルノブイリ(Chernobyl)原子力発電所周辺の立ち入り禁止区域は不気味な静寂が漂っているが、原発の近くにある建物は動物のほえる声や甲高い鳴き声で満ちている。

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今日この建物は、炉心溶融(メルトダウン)後の住民の避難から長い時がたった今も半径30キロメートル圏内の立ち入り禁止区域に残っている迷い犬のための医療施設になっている。

ルーカス・ヒクソン(Lucas Hixson)さんは、2013年に放射線専門家として初めて米国からこの原発事故現場にやってきた。だがまだ多数の犬がこの地域にいることに驚き、犬たちの里親探しやワクチン投与などを行うプロジェクト「チェルノブイリの犬(Dogs of Chernobyl)」を立ち上げた。

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AFPの取材に応じたヒクソンさんは、「発電所に行って最初に気付くことの一つは犬たちだ」と語った。「犬たちは放射能の危険を知らせる標識を読むことができない。彼らはただ走って好きなところに行くだけだ」

この犬の里親プロジェクトを統括する米団体クリーン・フューチャーズ・ファンド(CFF)のデータによると、人の居住が認められていない地域にいる野良犬は約1000匹に上る。

発電所周辺に約150匹、チェルノブイリ市内にさらに300匹、残りは検問所や消防署周辺の他、数百人が非公式に住み着いたと考えられる村々にいる。

■未来の米市民

同医療施設では現在、子犬15匹が飼育されていて、健康状態を確認後スラブチッチ(Slavutych)の幼犬施設に移されることになっている。チェルノブイリから約50キロ離れたこの町は、原発事故後、主に発電所作業員のために開発された。子犬たちはスラブチッチで最長6週間飼育された後、米国に渡り里親に引き取られる。

米国にいるCFFの支援者が、犬の里親探しや里親家庭への犬の輸送などを手伝っている。

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■放射線検査

成長した犬の中には荒々し過ぎて家庭で引き取れない犬もいるとボランティアたちは言う。そんな犬は医療措置だけ受けさせて再び野に返すのだという。

立ち入り禁止区域で保護された子犬の中には放射線が検出されたものは一匹もいないが、一部の成犬からは検出されている。「病院に連れてくる前にすべての犬を検査している」とヒクソンさんは説明する。

犬が少しでも放射性物質に汚染されていれば体を洗い、特殊な粉末を使って除染し、必要ならば毛もそる。「犬たちがここを出る頃にはすっかりきれいになっている。他の犬たちと同じようにね」とヒクソンさん。

ボランティアたちは、このプロジェクトは人々にチェルノブイリの現実を知ってもらう上でも役立っていると考えている。立ち入り禁止区域には奇形の生物がいると思っている人がいるかもしれないが、そこで生まれた子犬たちは他の場所で生まれた子犬と変わらない。

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