新基準でも原爆症と認められなかった被爆者を原爆症と認定した11日の福岡高裁判決は「疑わしきは救済する」という一連の集団訴訟での司法判断の流れに沿ったもので、高裁として初判断をした意義は大きい。国は判決を謙虚に受け止め、認定基準の見直しを検討すべきだ。
原爆症認定を巡る集団訴訟で敗訴を重ねた国は2014年1月に新たな認定基準を導入した。しかし、認定に際して原爆炸裂(さくれつ)時に放出された初期放射線を重視する一方で、放射性降下物などによる残留放射線を軽視する傾向は変わらず、国による却下が相次いだ。
これに対し、今回の判決は「被ばく線量の評価には、被爆状況や被爆後の行動、症状などに照らし、さまざまな形態での外部、内部被ばくの可能性がないかを十分に検討する必要がある」として、残留放射線を含め、より広く影響を考慮すべきだとの考えを示した。[…]
もっと読む。