原発廃炉費用、電気料金に上乗せという暴挙 国民負担を強いて電力会社を甘やかす国 via Business Journal

原子力発電所の廃炉が次々と決定している。原発の運転期間を原則40年とする「40年ルール」に基づき、関西電力など 4社は老朽化が進んだ計5基の原発廃炉を決めた。廃炉が決定したのは、福井県の関西電力美浜原発1号機(出力34万キロワット)、同2号機(50万キロ ワット)、福井県の日本原子力発電敦賀1号機(35.7万キロワット)、島根県の中国電力島根1号機(46万キロワット)、佐賀県の九州電力玄海1号機 (55.9万キロワット)だ。

老朽化して原発事故のリスクが高いので、安全性の観点から廃炉を決めたというわけではない。廃炉と運転延長のどちらが得かを計算した結果だ。関西電力は美浜1、2号機の廃炉を決定した理由について、「安全対策工事に5年程度かかり、工事費もかさむ。原子炉等規制法上、最長の20年間、運転延長が認められたとしても、残り15年間で採算を取るのは難しい」と説明している。新基準に基づく原子力規制委員会の安全審査をクリアするには、1基当たり100億円程度の対策費がかかるが、美浜1、2号機は出力も小さいため関電は採算が取れないと判断して廃炉を決めた。

採算ラインは出力80万キロワット以上とされており、関電は80万キロワット以上の出力を有する高浜1、2号機と美浜3号機については、運転延長 を申請した。いずれも出力が82.6万キロワットで、採算が取れると判断した。今後「40年ルール」に到達する大飯1、2号機も出力が117.5万キロ ワットと大きいため、運転延長を申請するとみられている。

経済産業省は3月、老朽原発を廃炉にした際、電力会社に損失が発生しないようにする会計制度を施行した。東京電力福島第一原子力発電所事故翌年の2012年、経産省は原発を再稼働せずに廃炉と決めた場合の電力会社の財務内容を試算した。それによると、電力会社10社のうち4社が資産より債務が多い債務超過に転落することがわかった。

(略)

会計制度の変更

そこで経産省が考え出したのが、電力会社が原発を廃炉にする場合、一度に巨額の損失を出さなくて済むようにすることだった。廃炉費用や、原発の価値がゼ ロになるのに伴う損失を、長い期間かけて分割して決算処理する仕組みが編み出された。従来の会計制度では、原発を廃炉にすると資産価値がゼロになり、1基 当たり約210億円の損失が発生する見込みだった。新たな制度では、廃炉によって発生する損失を10年間に分割する。

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