上関町に予定されている原子力発電所の建設計画で、中国電力が県に申請した工事の免許の延長について、当時の知事らが判断を先送りしたことは違法だなどと住民が訴えていた裁判で、2審の広島高等裁判所は、「判断の先送りを違法とする特段の事情は認められない」として、1審で一部を認めた判決を取り消し、住民側の訴えを退けました。
上関町の原子力発電所の建設計画をめぐっては、中国電力が、平成24年、埋め立て工事の免許の延長を県に申請しましたが、当時の山本繁太郎前知事は、平成25年3月に、国の原発の方針が定まっていないことなどを理由に、延長を認めるかどうかの判断を1年程度先送りする考えを表明しました。
これに対して、上関町の住民たちは、県に損害を与えたなどとして、その後死亡した前知事の遺族と現在の村岡知事に、県がそれぞれ10万円を請求するよう求めていましたが、1審の山口地方裁判所は住民の訴えの一部を認め、県が中国電力に説明を求めた2通の文書の郵送費として、県に対して、合わせて240円を請求するよう命じる判決を言い渡し、県側が控訴していました。
22日の2審の判決で、広島高裁の森一岳裁判長は、「県の判断の先送りを違法とする特段の事情は認められない」として、1審で一部を認めた判決を取り消し、郵送費の支出も含め、住民の訴えをいずれも退けました。
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