福島第一原発の事故のあと、除染の基準になっている1時間当たり0.23マイクロシーベルトという放射線量について、28日に開かれた国の放射線審議会で、委員から、除染で数値がなかなか下がらず、住民の帰還が進まない状況を踏まえ、審議会として基準の考え方を示すべきだという意見が相次ぎました。
国の放射線審議会は福島第一原発の事故を教訓に、除染や食品に関する被ばくの基準などについて議論していて、28日の会合では、事務局の原子力規制庁が再び原発で事故が起きた場合の放射線から住民を守るための考え方の案を示しました。
このなかでは、現在、除染は被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下になることを長期的な目標に、1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域で進められていますが、実際に測定された住民の被ばく線量はこれより低い傾向であることなどを例に、基準が本来意図する目的とはかけ離れて使われているなどと説明されています。
また、事故直後の緊急時から状況が変化していくことを踏まえ、基準の数値が余裕を持って定められていることを説明する必要があると指摘しています。
これについて委員からは、0.23マイクロシーベルトという値について被災地に住民の帰還が進まない状況を踏まえ「0.23は、住民にとって安全かどうかの固定観念になっている」とか、「除染をしても線量が下がらないなかで、0.23が大きな問題として残っている」など、審議会として住民の被ばく線量の基準の考え方を示すべきだという意見が相次ぎました。
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