国連人権理事会で有害物質の管理・処分と人権への影響を担当する特別報告者ら3人は16日、東京電力福島第1原発事故の除染作業員ら数万人が被ばくの危険にさらされ、健康被害を懸念するとの声明を発表した。日本政府に作業員保護のための緊急対策を求めている。
声明は、作業員には外国人労働者やホームレスが含まれているとの情報があるとし、これら社会的弱者は「被ばくのリスクを十分に知らされず、経済的な苦境から危険な作業を強制されるなど搾取されている恐れがある」と懸念した。
除染作業の契約を受けた少数の大手企業が数百の小企業に下請けに出す構造が、作業員の人権を顧みないブローカーの介在を招く要因になっているとも指摘した。
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除染作業を巡っては、外国人技能実習生が事前説明を十分受けずに従事した事例や、下請け業者の作業員に支給される手当が業者に搾取されたり、必要な健康診断を受けさせなかったりした違反も一部で発覚している。
今回の声明を受け、日本の厚生労働省の担当者は「これまでも真摯(しんし)に対応してきたが、一方的な情報に基づいて声明を出したことは遺憾だ。過去に発覚した問題事案には適切に対処しており、緊急で対応が必要な状況とは考えていない」と話した。(共同)
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