関西電力が福井県に所有する大飯、高浜、美浜の3原発から出る使用済み核燃料を、青森県むつ市の中間貯蔵施設に搬入して一時保管するよう検討していることについて、同市の宮下宗一郎市長は29日、産経新聞の取材に対し「協議に応じることは現時点で全く考えていない」と述べ、使用済み燃料を受け入れない姿勢を改めて示した。
宮下市長は、関電から搬入を検討していることへの説明がないとした上で、「電力会社の思惑の中で地域が動くことは考えられない」と強調。関電が今月7日に「方針を固めた事実は一切ない」とするコメントを出したことなどに触れ、「関電の一連の対応で(協議は)さらに遠のいたと思う」とした。
一方、核燃料サイクル事業自体には推進の立場を鮮明にし、「われわれの地域は誇りを持ってサイクル事業の一翼を担っている」と言及。国を交えた形での協議に応じるかどうかについては、「まだ中間貯蔵施設が国の審査をクリアしておらず、計画が遅れる可能性もある。今は将来の話をする段階ではない」とした。
中間貯蔵施設は東京電力ホールディングスが8割、日本原子力発電が2割を出資する合弁会社「リサイクル燃料貯蔵」(RFS、むつ市)が設置。平成25年に3千トンを貯蔵できる1棟目の建屋が完成し、今年後半の操業を目指している。現在は原子力規制委員会が新規制基準に基づく審査を続けている。
宮下市長によると、市民からは「関電は当地で発電しておらず、付き合いもない。使用済み燃料を引き受けろというのは本末転倒」などの声が寄せられた。(織田淳嗣)
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3原発は現在、敷地内の貯蔵プールで使用済み燃料を保管しているが、高浜原発(高浜町)は6~7年後、美浜原発(美浜町)は9年後、大飯原発(おおい町)は11年後にプールが満杯になると試算される。福井県とは約20年前に中間貯蔵施設の立地場所を県外にすると取り決めており、平成?年ごろに候補地を確定する計画だった。
しかし、同県の西川一誠知事が昨年、大飯3、4号機の今春の再稼働に同意する条件として、中間貯蔵場所の具体化を関電に要請。関電は同意を取り付ける見返りに、想定より早い?年中に候補地を示すと確約せざるを得なかった。
関電幹部は「事前に候補地を公表すれば地元の反対などで計画が頓挫する可能性も否定できないが、致し方なかった」と打ち明ける。
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関電が年内に候補地を提示できなければ、今後再稼働を予定する高浜1、2号機や美浜3号機の地元同意に支障が出る恐れがある。社内では「タイムリミットを考慮すれば、もはやむつ市以外の候補地は難しい」との声も聞かれるが、予断を許さない情勢だ。(林佳代子)
全文はむつ市長、関西電力との「協議応じない」 原発使用済み核燃料の一時保管、福井県からの受け入れ否定
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