関西電力が福井県に持つ3カ所の自社原発で保管している使用済み核燃料を、東京電力ホールディングス(HD)と日本原子力発電が青森県むつ市に建設した一時保管のための「中間貯蔵施設」に移す方向で検討していることが6日わかった。福井県から県外へ移すよう迫られており、関電の岩根茂樹社長は2018年中に搬出先を示すとしていた。
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関電の福井県にある高浜、大飯、美浜の3原発では使用済み核燃料をプールに入れて保管しており、全体の約7割が埋まっている。関電によれば、再稼働が進めば、7年ほどで満杯になるという。このため、金属製の専用容器に入れて一時的に保管する中間貯蔵施設の確保を急いでいる。
むつ市の中間貯蔵施設は、東電HDと日本原電が両社の原発の使用済み核燃料を保管するため、約1千億円をかけて建設。建物は完成しているが、原発などの新規制基準に基づく審査を受けており、まだ受け入れていない。最終的には計5千トンの使用済み核燃料を保管する計画で、関電は施設を運営する会社に出資して保管スペースを得る案を検討している。
政府は青森県六ケ所村の再処理工場で使用済み核燃料からまだ使えるウランなどを取り出し、再び核燃料にする「核燃料サイクル」を進めている。しかし、再処理工場は度重なる設備のトラブルや管理ミスなどで稼働時期が見通せない状態だ。このため、原発で保管する使用済み核燃料が増え続けており、中間貯蔵施設での一時保管が避けられなくなっている。